企業内保育所で働くメリットとは?特徴から仕事内容・働き方を解説!

企業内保育所での働き方

保育士の仕事を探していると、給与や福利厚生が手厚い企業内保育所の求人が気になる方も多いのではないでしょうか。

企業内保育所は一般的な保育園に比べて行事やイベントが少なく、土日休みが多いため、仕事とプライベートを両立しやすいため人気があります。

ただし、一般的な保育園とは異なる部分も多いため、保育士によってはミスマッチを起こす場合もあります。

本記事は実際にどのような働き方になるのか仕事内容や、企業内保育所で働くメリットとデメリットについて詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

この記事の要点
  • 企業内保育所はオフィスや会社の近くの施設に設置されている保育施設
  • 企業内保育所の仕事内容は一般的な保育園とほとんど変わらない
  • 行事やイベントが少ないため準備による業務負担が少ない
  • 企業内保育所の給料や福利厚生は大手の企業ほど充実している傾向にある
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保育のキャリア編集部

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こども家庭庁が公表する子ども・子育て支援新制度ハンドブックを参考にした証拠
当コンテンツを作成する際に参考にしたこども家庭庁が公表する子ども・子育て支援新制度ハンドブック
目次

企業内保育所は主に企業の従業員が利用する保育施設のこと

企業のビル

保育士の転職先の一つに、企業の従業員が勤務中に子どもを預けられる「企業内保育所(託児所)」という保育施設があります。

企業内保育所には企業が人材を確保できるように、従業員に子育てをしながら働ける環境を提供するという目的があります。

企業内保育所とは、企業等が従業員の子供を対象として、企業内又は近接地などに設置する保育施設のことです。
企業内保育所があることにより、従業員は安心して産休・育休から復帰することができ、企業側も計画的な
人員配置や優秀な人材の確保が可能となります。

引用:埼玉県「企業内保育所とは?」

一般的には、社内に保育所が設置されていることが多いですが、近隣で複数企業によって合同運営・利用されているケースも少なくありません。

企業内保育所には以下のような種類があり、主に企業の従業員の子どもを預かり対象としていますが、施設によっては地域の子どもも受け入れています。

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認可助成預かり対象地域枠保育士資格
事業所内保育施設
(認可保育所)
〇(厚生労働省・自治体)原則0~2歳※施設によって異なる〇義務(定員の4分の1)・定員20名以上:全員保育士資格が必要
・定員19人以下:保育従事者の2分の1以上は保育士資格が必要
企業主導型保育所×〇(内閣府)制限なし△任意(定員の50%が上限)子どもの年齢に応じた配置基準 +1名以上の保育従事者が必要で、そのうち2分の1以上は保育士資格が必要。
認可外保育所××制限なし規定なし子どもの年齢に応じた配置基準+常時2名以上+保育従事者の3分の1以上が保育士、看護師、保健師などであることが必要。

事業所内保育施設は国の厳しい設置基準を満たし、自治体から認可と助成を受けているため、保育士の質が担保されていることが特徴です。

また、事業所内保育施設や企業主導型保育所は、「企業枠」のほか「地域枠」の受け入れ義務があるため、近隣に住んでいる子どもも預かります。

企業主導型保育所は一般的に認可外保育所として扱われますが、内閣府から助成を受けられる一定基準を満たしています。

また、企業主導型保育所にも「地域枠」はありますが、事業所内保育施設と違って受け入れは義務ではなく「任意」なのが特徴です。

一方、認可外保育所は国や自治体から認可や助成を受けていないことから独自運営が可能で、保育方針や営業時間などを自由に設定できます。

企業内保育所は増加傾向にある

企業内保育所は子育てをしながら働き続けたい従業員側の需要や、人材を確保をしたい企業側の需要の高まりから、施設数が増加傾向にあります。

以下の表では、施設数が年々増加していることから、企業内保育所の需要が高いことを裏付けていることがわかります。

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平成20年平成21年令和3年
事業所内保育施設3,6173,8697,906

引用:厚生労働省「事業所内保育施設の状況」「令和3年地域児童福祉事業等調査の概況」より作成

また、過去には待機児童問題を解決したい国の意向も働き、厚生労働省と経済界が主導する形で企業内保育所を増やした経緯もあります。

厚生労働省と経済界は待機児童の解消に向け、2017年度末までに企業内保育所を5万人分増やす方針だ。14年3月に比べて約7割増やす。少子化対策の財源として企業が国に納める子育て拠出金の料率を上げ、企業内保育所向けの助成金制度を創設する。安倍政権が新たに掲げた出生率1.8目標の実現に向け、女性が働きやすい環境の整備を急ぐ。

引用:日本経済新聞「企業内保育所5万人増 17年度末7割拡大、厚労省・経済界」

このように、企業内保育所は需要が高く、将来性があると考えられます。

大企業の企業内保育所ほど福利厚生が充実している傾向にある

渋谷のビル

会社の規模が大きい企業内保育所は、保育士の福利厚生がより充実している傾向にあります。

例えば、京王電鉄株式会社では事業所内保育施設「サクラさーくる」が設置されています。

大企業の企業内保育所では、企業の保有している施設を優待価格で利用できたり、住宅補助などを受けられる場合があります。

同じ企業内保育所でも、働く施設によって利用できる福利厚生に大きな違いが生じるため、福利厚生も重視する方は大企業の企業内保育所がおすすめです。

正社員として働くためには保育士資格が必要となる

企業内保育所は保育士の資格を持っていなくても働けますが、正社員として働く場合は保育士資格が必要になるケースが多くあります。

例えば、定員20名以上の事業所内保育施設では、全員が保育士である必要があるため、保育士の資格がなければ働くことができません。

また、19名以下の事業所内保育施設の場合でも、保育従事者の2分の1以上は保育士資格が必要です。

このように、正社員として企業内保育所で働きたい方は、保育士資格の取得をしておくことが求められます。

企業内保育所で働くメリット

企業内保育所で保育士として働くメリットは、主に5つあります。

  1. 大企業は給料や福利厚生が充実しており働きやすい傾向にある
  2. 行事やイベント準備による業務負担が少ない
  3. 保護者との距離が近く緊急時に連絡が取りやすい
  4. 土日休みで仕事とプライベートを両立しやすい
  5. 駅から近く通いやすい職場が多い

企業内保育所のどのような点が働きやすいのか、一つずつ確認していきましょう。

大企業は給料や福利厚生が充実しており働きやすい傾向にある

大手の企業内保育所は給料や福利厚生が充実しているため、働きやすいというメリットがあります。

例えば、厚生労働省が公表している「保育士の平均賃金」によると、保育士の平均月給は223,300円となっています。

しかし、保育士転職サイトの保育のお仕事で求人を検索すると、以下のとおり大手では月給23万円以上になることもあり、一般的な保育士の月給と比較して高めです。

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施設名給与・手当福利厚生
住友商事チャイルドケア
トリトンすくすくスクエア
■四年制大学卒
月給:249,000円~
・基本給:184,000円~
・資格手当:13,000円
・施設手当:17,000円
・地域特別手当:35,000円
■短大、専門卒
月給:234,000円~
・基本給:184,000円~
・資格手当:13,000円
・施設手当:17,000円
・地域特別手当:20,000円
■交通費支給
■各種保険(健康・厚生年金・雇用・労災)
■退職金制度あり(当社規定あり)
■賞与年2回
■昇給年1回
■弊社サービス優待利用、育児・介護休職制度
■引越し初期費用補助(上限20万円)(地方の方で当社への入社のために上京する方に限り)
◆研修制度:入社前研修(新卒)、マナー研修、保育実技研修など
京王キッズプラッツ南大沢■月給:200,000円~252,000円
(資格手当・キャリアアップ手当込み)
・基本給:170,000円
・資格手当:10,000円
・キャリアアップ手当:20,000円
■交通費実費支給(上限あり/月額30,000円)
■賞与あり(年2回/計3ヶ月/年間※評価による)
■社会保険完備
■研修制度あり
■職員用控室あり
■規定エプロンあり
■持株会制度
■京王グループ共済制度
■京王グループ優待制度
■福利厚生クラブ(全国の映画館やレジャー施設などの割引)
■借り上げ社宅制度
■住宅手当
厚生労働省 5号館保育室■月給:233,220円~265,000円
・基本給: 201,240円
・勤務手当:15,980円
※固定残業10時間分、超過分は別途支給
・都市手当:13,000円
※東京23区、川崎市勤務する者のみ支給
・資格手当: 3,000円《その他手当》
・住宅手当(世帯主のみ):15,000円
・家族手当(世帯主のみ):10,000円
■交通費支給(上限30,000円/月)
■社会保険完備
■賞与あり(前年度実績年2回)
■階層別、社内外、外部講師等による各種研修制度あり
■社内表彰制度、福利厚生サービス等あり
■遠方の方向けに独身寮・引越費用補助制度あり(当社規定による)

引用:保育のお仕事

このように、大手企業の企業内保育所は手当や福利厚生も充実しているため、給与面や働きがいも重視したいという方が満足できる環境が整っています。

企業内保育所の求人を探す際は、比較的に求人数が多い以下のおすすめの保育士転職サイトを利用すると給料や福利厚生を比較しやすいです。

企業内保育所の求人数
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330件(院内保育を含む)
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374件
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201件
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360件
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100件(院内保育を含む)
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※求人数は2024年11月2日時点の情報です。

行事やイベント準備による業務負担が少ない

企業内保育所は一般的な保育園や幼稚園よりも、行事やイベント準備による業務負担が少ないというメリットがあります。

企業内保育所で行事が少ない理由は、保育所のイベントに合わせて同じ企業で働く保護者が一斉に休むと会社に影響が出やすいからです。

企業内保育所は園庭のような設備が不十分でイベント実施が困難な場合があるため、保育士のブランクがある方や行事やイベントの準備が好きでない方におすすめです。

保護者との距離が近く緊急時に連絡が取りやすい

企業内保育所は社内や職場の近隣に保育施設が設置されていることが多いため、保護者との距離が近く、緊急時でも連絡が取りやすいことも良い点です。

例えば、子どもが急に体調を崩した場合は、早く保護者と連絡を取りたくても、一般的な保育園ではなかなか連絡がつかないことがあります。

企業内保育所は近くで働く保護者と連絡を取って素早く対応できるため、責任感が求められる仕事でありながら、安心感を持って働くことができます。

土日休みで仕事とプライベートを両立しやすい

カレンダー

企業内保育所は土日休みのところが多く、仕事とプライベートを両立しやすいこともメリットです。

特に、子どもの休みに合わせて働きたいという場合は、カレンダー通りの休みとなっている企業内保育所を選ぶと安心です。

ただし、企業内保育所の中には、24時間対応の院内保育所のような施設もあり、必ずしも土日休みになるとは限りません。

それぞれの施設によって休みが大きく異なるため、自身が希望している働き方とマッチする施設を選びましょう。

駅から近く通いやすい職場が多い

渋谷駅の近く

企業内保育所は駅から近い位置に職場があることが多いため、通勤しやすいという魅力があります。

駅から遠く通勤に不便な場所だと、仕事の前に体力が消耗されてしまいます。

そのため、体力に自信がない方は、駅から近い企業内保育所を選ぶと長く働き続けやすいでしょう。

企業内保育所で働くデメリット

企業内保育所で働く場合、以下のような4つのデメリットがあります。

  1. 大人数の子どもをまとめるスキルや経験が身につきにくい
  2. 職員が少ないことが多く休みが取りにくい
  3. 企業の経営状況が給与に影響することがある
  4. 保育施設の設備が十分に整っていないことがある

人によっては働き方が合わない可能性もあるため、事前にチェックしておきましょう。

大人数の子どもをまとめるスキルや経験が身につきにくい

企業内保育所は少人数保育のため、大人数の子どもをまとめるスキルや経験が身につきにくいというデメリットがあります。

そのため、保育士の仕事の幅を広げたい方には、物足りないと感じる場合もあるかもしれません。

ただし、企業内保育所も一般的な保育園も、仕事内容はほとんど同じなので、企業内保育所で働いた経験は、次の転職時にも生かすことができます。

特に、企業内保育所は働く保護者と話す機会が多いため、どこで働くことになっても、働く保護者の要望や悩みに上手く寄り添うことができるはずです。

このような経験をアピールすることで、少人数保育では身につきにくいスキルや経験の乏しさをカバーすることができます。

職員が少ないことが多く休みが取りにくい

企業内保育所は子どもの定員が19名以下だと配置基準+1名以上の職員配置が必要で、職員数が少ないことから休みが取りにくい場合があります。

保育士の配置基準
乳児3人につき1人以上
満1歳以上満3歳未満6人につき1人以上
満3歳以上満4歳未満20人につき1人以上
満4歳以上30人につき1人以上

職員の数が少ない職場では、1人が仕事を休むとその分一人ひとりの仕事の負担が大きくなるため、有休を取りにくいと悩むケースが少なくありません。

有給を取る際は他の職員と休みがかぶらないように調整する必要があるため、希望通りの休みが取れないことも考えられます。

有休の取りやすさという点では、職員の数が多い施設を選んだほうが、自身の希望通りに休みを取りやすくなるでしょう。

企業の経営状況が給与に影響することがある

企業内保育所で働く場合は、企業の経営状況が保育士の給料に影響する可能性があるというデメリットもあります。

企業内保育所は運営企業の経営方針や業績が色濃く反映される傾向にあり、経営難になると閉鎖されるケースがあるため注意しましょう。

横浜市内の企業主導型保育園の一つが、今月末で休園する方針を決めた。この園は市内でも保育園に入りにくい地域に位置することもあり、20人以上の園児やその保護者に困惑が広がっている。「今から保育園探しをしても、新たな預け先を見つけられないかもしれない」との不安の声も相次ぐ。
この園は2019年に開園した。近くに別の認可外保育園も持つ地元企業が運営していた。
関係者によると、9日夕方に臨時で開催された保護者会で、「12月からこの園での保育は継続できません」との説明があった。突然のことだったという。
今年の夏以降、保育士への賃金が払われなくなるなどしていたという。

引用:朝日新聞「横浜の企業主導型保育園が突然閉園へ「行き場ない」保護者に困惑」

経営難から閉鎖になる企業内保育所は、給料の未払いが発生することもあるため、企業内保育所を選ぶ場合は、慎重に見極める必要があります。

保育施設の設備が十分に整っていないことがある

企業内保育所は大きく分けると認可保育所と認可外保育所の2種類があり、認可外保育所の場合は保育施設の設備が十分に整っていないこともあります。

認可保育所は国の設置要件を満たしているため保育施設の設備が充実しており、認可外保育所は設備が劣る傾向にあります。

例えば、認可保育所では医務室や屋外遊戯場も必要となりますが、認可外保育所では保育室、調理室、トイレなど最低限の設備しか求められません。

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認可保育所(事業所内保育施設)認可外保育所(企業主導型保育所)
設備■2歳未満
・乳児室の面積:1.65㎡以上/人
・ほふく室の面積:3.3㎡以上/人・医務室、調理室、便所
■2歳児以上
・保育室又は遊戯室:1.98㎡以上/人
・屋外遊戯場:3.3㎡以上/人
・調理室、便所
■全年齢共通
・保育室:1.65㎡以上/人
・調理室、便所
非常災害措置・消火用具、非常口の設置
・定期的な訓練の実施
・消火用具、非常口の設置
・定期的な訓練の実施

引用:厚生労働省「認可保育所と認可外保育所の設置基準」

このため、保育士として働く場合は、設備面で働きにくさを感じる場合もあるでしょう。

企業内保育所は企業の営業時間に合わせた働き方になる

時計の時間

企業内保育所の特徴として、「企業の営業時間」に合わせた働き方になることが挙げられます。

企業内保育所は従業員が働いている間に子どもを預かる施設のため、企業自体がお休みであれば、社内にある保育所も基本的にお休みになるからです。

カレンダー通りのお休みになる企業であれば、土日祝日は休みになりやすいでしょう。

企業によっては夜間保育が実施される

企業内保育所は企業によって昼間だけではなく、夜間保育が実施される場合もあります。

例えば、病院の医師や看護師が利用する院内保育所の場合は24時間対応しており、夜勤(深夜労働)が発生することも少なくありません。

一方、認可保育所の開所時間は「原則11時間+午後10時まで」とされているため、深夜~早朝にかけての夜勤は発生しにくくなっています。

このため、「朝方なので夜勤がきつい」「家庭と両立するため日中勤務を希望」という方は、夜勤のない企業内保育所や認可保育所を選ぶほうが安心です。

仕事内容は一般的な保育園と変わらない

企業内保育所は企業ごとに開所時間がそれぞれ異なりますが、一般的な保育園と仕事内容はほとんど変わりません。

企業内保育所の主な仕事内容
  • 健康観察
  • 遊び
  • 排泄、食事、衣類の着脱のサポート
  • 保育計画書の作成
  • 連絡帳の記入
  • おたよりの作成
  • 保護者への対応
  • 行事の企画や準備
  • 壁飾りなどの製作

そのため、どの保育施設で働いていた方でも、保育士経験を十分に生かすことができます。

また、企業内保育所は行事やイベント準備にかかる業務負担が少ないため、一般的な保育園より働きやすいと感じる場合もあるでしょう。

企業主導型保育所と事業所内保育施設は自治体に認可されているかの違いがある

企業内保育所は施設の種類がわかりにくいかもしれませんが、事業所内保育施設と企業主導型保育所の違いは、自治体に認可されているかという点です。

事業所内保育施設は国の設置基準を満たし、自治体から認可を受けているため「認可保育所」となります。

一方、企業主導型保育所は、内閣府の助成基準は満たしていますが、自治体から認可を受けていないため「認可外保育所」として扱われるのが一般的です。

ここからは、事業所内保育施設と企業主導型保育所の違いについて、さらに詳しく解説していきます。

企業主導型保育事業は0〜5歳まで幅広い年齢の子どもを受け入れできる

事業所内保育事業で対応できる子どもの対象年齢は原則0〜2歳ですが、企業主導型保育事業は0〜5歳の子どもを幅広く受け入れることができます。

自治体の認可を受けていない企業主導型保育事業は、運営企業側が子どもの受け入れ年齢を自由に決めることができるからです。

そのため、企業主導型保育事業では施設ごとに受け入れる子供の年齢が異なります。

このように、企業主導型保育事業は幅広い年齢の子どもの成長に携わることができます。

事業所内保育事業は地域枠の開放が義務付けられている

自治体から認可を受けている事業所内保育事業は、従業員が利用できる企業枠のほか、近隣の方が利用できる地域枠の受け入れが義務付けられています。

児童福祉法に基づく認可の対象となる事業所内保育事業については、従業員枠の子どもに加えて、「地域において保育を必要とする子ども(地域枠の子ども)」を受け入れることが必要となる。

引用:芦屋市「事業所内保育事業における地域枠の子どもの受け入れ」

このため、事業所内保育事業では定員の4分の1程度を目途に、以下のように地域枠の定員数が決まっています。

定員区分地域枠の定員
1~10名・1~5名:1人
・6~7名:2人
・8~10名:3人
11~20名・11~15名:4名
・16~20名:5名
21~30名・21~25名:6名
・26~30名:7名
31~40名10名
41~50名12名
51~60名15名
61~70名20名
71名以上20名

引用:こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度ハンドブック」

また、地域枠で預かることができる子どもの年齢は0〜2歳までなので、3歳以降の受け入れ先として連携施設を持つケースも多く見られます。

連携施設は主に「認定こども園」「幼稚園」「認可保育所」などの施設を指します。

事業所内保育施設は定員数に応じて異なる配置基準が適用される

企業内保育所では保育の質を確保するため最低限必要な保育士の数(配置基準)が決まっており、事業所内保育施設は「定員数」に応じて適用されます。

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施設の種類配置基準
事業所内保育施設・定員20名以上:全員保育士
・定員19人以下:保育従事者の2分の1以上が保育士
企業主導型保育所・乳児:3人につき保育従事者1人
・満1歳~満3歳未満:6人につき保育従事者1人
・満3歳~満4歳未満:20人につき保育従事者1人
・満4歳以上:25人につき保育従事者1人上記の基準に「+1」以上の保育従事者を加え、なおかつ、保育従事者の2分の1以上が保育士であることが必要。

※満4歳以上の配置基準は、2024年度より「30人」から「25人」へ改正。

事業所内保育施設は、定員20名以上の場合は全員保育士、19人以下の場合は保育従事者の2分の1以上が保育士である必要があります。

一方、企業主導型保育所の場合は、子どもの年齢+定員数に応じて職員の配置基準があり、保育従事者の2分の1以上が保育士である必要があります。

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