保育士の残業はどのくらい?残業時間や頻度の増加につながる業務を徹底調査!

保育士の残業に関するアイキャッチ画像

保育士は人手不足が問題視されており、年々労働環境が見直されている職業の一つです。

現状では、保育士を辞める要因のうち労働時間が長いことが、3番目に多いことがわかっており、残業や拘束時間の長さに悩まされている保育士も多いのではないでしょうか。

1位給料が安い(61.6%)
2位仕事量が多い(54.0%)
3位労働時間が長い(35.4%)
4位職場の人間関係(30.1%)
5位他業種への興味(28.9%)

引用:東京都福祉局「東京都保育士実態調査」

特に、保育士は持ち帰りの仕事もあるため、残業時間が多いとプライベートの充実が難しくなるだけではなく、心身にも影響を及ぼします。

そこで本記事では、保育士の実際の残業時間をはじめ、残業の原因や残業時間が少ない保育施設について解説します。

これから保育士への就職・転職を目指す方は、勤務先を選ぶときの参考にしてみてください。

この記事の要点
  • 保育士の残業時間は月に1〜5時間ほどが多い
  • 保育士の人手不足が残業につながっていると考えられる
  • 残業の内容は保育日誌や提出書類などの書類作成がメイン
著者情報
保育のキャリア編集部

保育士転職のいろは編集部

保育士転職のいろは編集部は保育人材が思う理想的な働き方を実現するために当サイトを運営しています。保育士および保育士経験者1,474名を対象とした独自アンケート調査を基に、転職サイトの実態、職場の人間関係、残業問題、年収事情など業界のリアルな声を分析・発信。編集部は保育士向けに保育園の口コミサイトほいくreviewsも運営し、保育士がより良い転職先を選択できるようサポート。Podcast番組『おつかれ保育士さん』でも配信中。著書『保育士が抱える「辞めたい」を変える

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労働時間について参考にした厚生労働省のWebページ
労働時間について参考にした厚生労働省のWebページ

アンケートでは保育士転職のいろは編集部が現役保育士・保育現場で働いたことがある方を対象に残業について質問し、79名から回答を得ました。

保育士に残業についてアンケートを実施した証拠
保育士へ残業についてアンケートを実施している様子

現役保育士や保育現場で働いたことがある方を対象にしたアンケートでは、以下の質問に回答してもらいました。

  • 性別を教えてください
  • 年齢を教えてください
  • 週何時間ほど残業をしていますか?
  • 週に何回くらい残業がありますか?
  • 残業の主な内容はなんですか?
  • 残業が発生する原因はなんですか?
  • 残業に対する不満度はどのくらいですか?
  • 残業が心身に与える影響はどのくらいですか?

上記のアンケートに回答してくれた79名の性別と年齢構成は以下のとおりです。

  • 女性:52名
  • 男性:26名
  • その他:1名

以下では回答者の年齢構成を示しています。

  • 20歳以上30歳未満:23名
  • 30歳以上40歳未満:39名
  • 40歳以上50歳未満:17名
目次

保育士の残業時間は月に3時間程度と発表されている

厚生労働省の2023年賃金構造基本統計調査によると、保育士の残業時間は月に3時間程度となっています。

保育士の労働時間の上限は、労働基準法32条によって1日8時間(1週40時間)と決まっており、この基準を超えたものが「残業」扱いとなります。

Q.勤務時間の上限は法律で決まっていますか?A.原則は労働基準法第32条で1週間40時間、1日8時間と決まっています。また、一定の条件を満たした場合には1ヶ月を平均して1週40時間にする制度(1ヶ月単位の変形労働制)や1年の労働時間を平均して1週40時間にする制度(1年単位の変形労働制)があり、これを超える労働を法定時間外労働と言い、いわゆる残業ということになります。

引用:厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係」

週5日(月20日)勤務した場合は、月3時間の残業は1日9分程度となるため、中には「え!こんなに残業少ないの?!」と思う方もいるかもしれません。

国の調査と実際の現場の意見には違いがある可能性もあるため、今回は保育士79名に残業に関するアンケート調査を実施しました。

保育士の残業時間に対するアンケート調査となった対象

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

保育士の残業時間は本当に国の調査通りなのか、ここからは独自アンケートの調査結果と併せて解説していきます。

実際に調査してみた保育士の残業時間

保育士の1週間あたりの残業時間を聞いたところ、一番多かったのは「1〜5時間(55.7%)」という回答でした。

残業時間に関する回答

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

週に1〜5時間の残業というのは、週5日勤務の場合、1日12分〜1時間程度です。

この場合、保育士の実質の労働時間は「基本労働8時間+12分〜1時間の残業」で1日あたり8時間12分〜9時間程度だと考えられます。

1日12分(週1時間)程度の残業だと、月に換算すると「4時間」程度になるため、国の調査結果と近い数値になります。

ただし、独自調査では「週6〜10時間(27.8%)」という回答もあり、月に換算すると24〜40時間くらい残業している方も少なくありません。

「月4時間」というのは比較的残業が少ない職場で働いた場合の目安なので、心配な方は面接時に実質の残業時間についてよく確認しておきましょう。

自身の職場が基準よりも残業時間が長いと感じる方は、おすすめの保育士転職サイトを使ってより働きやすい施設に転職することがおすすめです。

残業の頻度は週に2〜3回という回答が最も多いことがわかった

保育士の残業の頻度について調査したところ、一番多かったのは「週2、3日(45.6%)」、次いで「週1日(35.4%)」という回答でした。

残業の頻度の関する回答

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

「ほぼ毎日」と回答した方は13.9%のみで、全体の2割未満となっており、保育士の残業頻度はそれほど多くないといえるでしょう。

ただし、卒園式や入園式がある3月〜4月、運動会やハロウィンなどの季節行事が多くなる9月〜12月はどこの保育施設も忙しくなる傾向があります。

この時期は、通常保育や保護者への対応に加えて、イベントの企画や準備で仕事量が多くなるため、保育士にとっての繁忙期といえます。

サービス残業が当たり前という実情もある

保育士の残業時間や頻度はそれほど多くないとわかりましたが、「サービス残業」が当たり前になっているという実情もあります。

実際、2022年には区立保育園で2,875万円の残業代の未払いがあり、東京・港区が三田労基署より改善指導を受けたことが判明しました。

東京都港区が2020年2月~22年1月の間、二つの区立保育園の職員58人に対し、残業代計約2875万円を支払っていなかったことが、区への取材で分かった。区は三田労働基準監督署から2月に改善指導を受け、先月に全額を職員に支払った。
 区人事課によると、未払いがあったのは青山保育園と白金保育園の園長と保育士、看護師。区の職員組合と区側が労使協定(36協定)を結び、残業をさせる上限を原則月40時間、例外的な場合でも月80時間と定めていた。未払い額の多かった保育士の1人は、残業時間は上限に近い月78時間、月18万9000円分だった。

引用:東京新聞「区立保育園の保育士らの残業代未払い 58人に2年間計2875万円」

こうした残業代の未払いが常態化しているブラックな保育園もあるため、勤務先によっては残業の悩みを抱える場合もあります。

当メディアが実施したアンケートでも、残業への不満度に対して「5(かなり高い)」と「4(高い)」が50.6%を占めており、保育士の不満度の高さがうかがえました

残業する対する不満度

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

回答者の意見からは現状の残業時間や職場環境について、中間から高い程度で不満を抱いていることがわかります。

また、残業が心身に与える影響については、「5(かなり高い)」と「4(高い)」で59.5%を超え、疲労やストレスを感じる方が多いようです。

残業が心身に与える影響度

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

アンケート調査からは、残業が保育士の心身に影響を与えていないと言う意見のほうが少数派ということがわかっており、身体的・精神的な症状によってはさらなる残業時間の削減や職場環境の改善が求められます。

こうしたサービス残業に対する不満は、「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」という退職理由にもつながっていると考えられます。

仕事を持ち帰って進めないといけないこともある

保育士の残業には、勤務先でのサービス残業のほか、自宅での「持ち帰り仕事」もあります。

保育士の持ち帰り仕事は、主に「事務系作業」と「製作物」の2種類があります。

スクロールできます
事務系作業・年間
・月案
・週案などの指導計画の作成
・お便りの作成
・避難訓練の計画
・イベントの計画
製作物・保護者用のイベントプログラムの作成
・誕生日カードの作成
・イベントで必要な小道具や衣装の製作
・教室内の飾り作り

そして、持ち帰り仕事はすべてが残業と認められるわけではなく、一般的に上司から指示を受けた場合に正式に残業と認められるので注意が必要です。

問11いわゆる持ち帰り残業は労働時間に該当するか。
いわゆる持ち帰り残業は、必ずしも使用者の指揮命令の下に置かれているとはいえないものもあり、直ちに業務による負荷として評価することが必ずしも適切ではない場合があるが、事実認定の結果、使用者の指揮命令の下に置かれたものと判断される場合には、労働時間と評価すること。具体的には、自宅等に仕事を持ち帰って行うことを使用者に義務付けられ、又はこれを余儀なくされていたことが確認された場合であって、かつ、客観的な資料により持ち帰り残業の成果が特定できるようなときには、労働時間に該当すると考えられることから、個別事案ごとに労働時間として評価するか否か十分に検討すること。

引用:厚生労働省「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集の活用について」

持ち帰り仕事が残業に当たるかは、上司からの指揮命令の有無のほか、パソコンの使用状況やログ、持ち帰りによる成果物などから総合的に判断されます。

保育士の場合は残業と認められない持ち帰り仕事やサービス残業を含むと、厚生労働省の発表している3時間という残業時間では済まない可能性があります。

保育士の仕事がこれだけきついのはなぜなのか、次の章では保育士の残業が多くなる原因について詳しく見ていきましょう。

保育士の人手不足が残業につながっている

千歳烏山にある公園

当メディアが実施したアンケート調査によると、保育士の残業が発生する原因として、主に「人手不足(38.0%)」と「業務量の多さ(22.8%)」が挙げられています。

残業時間が発生する原因はなんですか?
人手不足
38.0%
業務量の多さ
22.8%
行事やイベントの準備
10.1%
突発的な対応
10.1%
延長保育の増加
6.3%

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

実際に、こども家庭庁が公表する令和7年10月の保育士の有効求人倍率では、全職種の有効求人倍率が1.2倍に対して、保育士が3.1倍となっており人手不足と判断できます。

特に「栃木県」「鳥取県」「広島県」「福井県」では、保育士の有効求人倍率が5倍を超えています。

また、人手不足の主な原因として、「保育士の有資格者が保育施設に就職していないこと(潜在保育士の増加)」と「早期離職」の2つが問題です。

厚生労働省の「保育士の就業の実態」によると、保育資格を取得しても実際に保育士としての就業を希望しない主な理由は以下のとおりです。

  • 賃金が希望と合わない
  • 他職種への興味
  • 責任の重さや事故への不安
  • 自身の健康や体力への不安
  • 休暇が少ない、取りにくい
  • 就業時間が希望と合わない

保育士の仕事は責任が重い割に、労働条件がハードなため、就業希望者が増えにくいという業界自体の問題があります。

せっかく保育士として就業しても、半数以上が勤続5年未満で早期退職しており、なかなか人材が定着しません。

ただし、現在はより働きやすい環境を整備するため2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、人手不足の解消が期待されています。

【ポイント1】時間外労働の上限規制
*2019年(中小企業2020年)4月1日~施行
◎残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
◎臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
 ・年720時間以内
 ・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
 ・月100時間未満(休日労働を含む)
 を超えることはできません。
 また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
【ポイント2】年次有給休暇の取得義務化
*2019年4月1日~施行
全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となりました。
【ポイント3】雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
*2020年(中小企業2021年)4月1日~施行
同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

引用:厚生労働省「働き方改革関連法の概要」

また、続いて紹介する事務作業も、保育業界の人離れに大きな影響を及ぼしている可能性があるため、今後解決していく必要があります。

保育日誌や提出書類の作成などの事務作業が労働時間を長くする

保育士の残業として大部分を占める業務は書類作成(44.3%)で、保育日誌や提出書類の作成などの事務作業が労働時間を長くしています。

残業の内容

引用:保育士の残業に関するアンケート調査

日中は園児のケアで目が離せないため、事務系作業はどうしても後回しになりがちです。

その結果、人によっては勤務時間内に業務を終了させることができず、持ち帰り仕事になってしまうことも少なくありません。

行事やイベントが重なると残業時間が増えやすい

保育士はイベントや行事が重なると残業時間が増えやすい傾向があります。

行事やイベントで使用する小道具や衣装などは、保育士が製作しないといけないため、体力的にも精神的にも「仕事がきつい」と感じる方もいるでしょう。

そのため、できるだけ残業を避けたい場合は、業務負担が少ない施設を選ぶことが重要なポイントになります。

具体的にどのような施設だと残業が少なく済むのか、次の章で詳しくご紹介します。

保育士の残業時間が少ない施設は業務負担が少ない

近年、保育業界では保育士の業務負担を軽減するため、保育システムをICT化するケースが増えています。

ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」のことで、ネットで人とモノをつなぎ、情報を共有することです。

ICTシステムでは、主に以下のようなことができます。

  • 職員の勤怠の管理
  • 園児の個人情報の管理
  • 指導計画の作成
  • 保育日誌の作成
  • 自治体への提出書類の作成
  • 保護者との出欠連絡
  • 園から保護者への一斉連絡
  • お便りの配信
  • 写真の共有(販売サービス)

このようにICTシステムが導入されている保育施設なら、業務効率化が図れるため、残業時間が増えないように業務を完了させることも可能です。

また、以下のような保育施設も残業時間が少ないので検討してみる価値があります。

小規模保育や院内保育など行事が少ない施設もある

保育施設の中でも、園児の数が少なく、敷地面積の狭い「小規模保育園」や「院内保育園」は行事が少なく残業時間が少ない傾向です。

スクロールできます
小規模保育園0~2歳児を対象にした保育施設で、定員6~19名で行う小規模な保育園です。
院内保育園医師や看護師が子どもを預けて働くことができる病院内の保育施設のことです。
預かることができる子どもの年齢は就学前までが一般的で、24時間対応している場合もあります。

イベントの数は保育士の業務量を大きく左右するため、残業を抑えたい場合は、イベントの数が少ない小規模保育や院内保育のほうが安心です。

また、園庭がない小規模保育園や院内保育園は園児たちとの遊びも室内がメインとなるため、保育士にブランクがある体力にあまり自信がない方にも働きやすいのでおすすめです。

保育士が多い施設は効率的に仕事が進められる

残業を少なくしたい場合は、子どもの人数に対して保育士の数が多い施設のほうが効率的に仕事ができるので残業が発生しにくくなります。

保育士が多い職場は「人間関係が面倒そう…」と感じる方もいるかもしれませんが、その分仕事が分担できるため残業時間は抑えることができます。

一方、保育士の数が少ない施設はアットホームで人気がありますが、別の職員がお休み・退職した場合、仕事がどっと増えるリスクもあるので要注意です。

このため、保育士の残業時間がネックになっている場合は、職員が休んでも業務の負担が少ない保育士の多い施設を選ぶと安心できるでしょう。

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