保育士が職場選びをする際に、「感染症対策」がしっかりと行われている職場を選ぶことも重要です。
感染症の基本情報や最新ガイドラインなどの情報を職員間で共有している施設は、保護者から質問を受けた際にスムーズに対応しやすいからです。
また、保護者に対してどのような感染症対策を行っているのか具体的に説明できれば、保護者から信頼してもらうことができます。
そこで本記事では、子どもの感染症にすぐに気づいて対応できるように、保育園で流行りやすい感染症の種類や対策などについて詳しく解説します。
いつでも適切に対処できるように、感染症の正しい知識を把握しておきましょう。
当コンテンツについて
※当コンテンツは保育のキャリアが定める広告掲載ポリシー及びプライバシーポリシーに基づいて作成・管理されています。
※当コンテンツはファーストパーティクッキーを使用しており、サイト訪問者の利便性の向上やサイトパフォーマンスの改善を目的にGoogleアナリティクスを活用しています。
※本記事に誤りやご意見がございましたら、こちらの問い合わせフォームよりご連絡ください。管理人が内容を確認後に必要に応じて内容を訂正させていただきます。
※当コンテンツの感染症に関する内容は生命医科の所定の課程を修めた監修者が確認した上で公開されています。
保育のキャリア編集部
保育のキャリア編集部はこれまで保育士の転職サイトや職場での人間関係、残業、年収に関する調査を1,303名の保育士や保育士経験者にアンケートを実施してきました。調査で得られた保育士の声や自身がエージェントサービスを利用してきた経験を当サイトのコンテンツに反映させています。
当コンテンツは構成・執筆・編集を保育のキャリア編集部が担当、アイキャッチ画像の作成を外注デザイナーが担当しています。
保育のキャリア編集部は当コンテンツを作成するにあたり、以下のWebサイトに掲載されている情報や監修者の知見を参考にしています。
保育士が日頃から徹底したい感染症への対策
保育士が日頃から徹底したい感染症の対策方法は主に4つあります。
また、保育士が転職先を選ぶ際は上記の感染症対策がどのくらい徹底されているかも参考にしましょう。
保育施設への感染症の侵入や流行の拡大を防ぐためにはどうしたらいいのか、ここでは具体的な対策方法について詳しく解説します。
正しい手洗いをして感染症の原因を手につけない
感染症の拡大を抑えるためには、正しい手洗いを実践して感染症の原因を手につけたままにしないことが重要です。
そのため、まずは感染症を予防するための正しい手洗いの仕方をご紹介します。
ハンドソープを使用した正しい手洗いは以下のとおりです。
参考:国立成育医療研究センター「正しい手洗い(手指衛生)の方法」
速乾性手指消毒剤による手洗いは以下の手順で行いましょう。
参考:国立成育医療研究センター「正しい手洗い(手指衛生)の方法」
手洗いは15秒以上かけて、爪の間、手の甲、手首など普段あまり時間をかけて洗わない部分まで丁寧に洗いましょう。
咳エチケットを徹底することで飛沫を拡げない
飛沫感染する感染症には、「咳エチケット」が有効な対策となります。
咳エチケットとは感染症を他人にうつさないように、咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュなどを使って口や鼻を抑えることです。
良い事例 | ・マスクを着用する ・ティッシュやハンカチを使って口や鼻を覆う ・上着の内側や袖(そで)で覆う |
---|---|
悪い事例 | ・咳やくしゃみを手でおさえる ・何もせずに咳やくしゃみをする |
保育所のような人が密集しており、集団感染のリスクがあるところでは、咳エチケットを実践することが感染予防につながります。
空気の入れ替えは毎時一人あたり30m3を目安に行う
感染症対策は空気の入れ替えを、毎時一人あたり30㎥を目安に行うのも有効な手段です。
毎時一人あたり30㎥の換気を行えば、感染症対策で有効とされる二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に維持することができるからです。
必要な換気量(一人当たり換気量30m3/時を目安)を確保するため、二酸化炭素濃度を概ね1,000ppm以下に維持。また、学校(幼稚園を含む)については、常時換気に努めるなど「衛生管理マニュアル」を踏まえた適切な換気等の基本的な感染対策を徹底し、気候等に応じて、上記の補完的な措置も検討して、出来る限り1,000ppm相当の換気等に取り組むことが望ましい。
引用:奈良産業保健総合支援センター(奈良さんぽ)「効果的な換気のポイント」
感染症の種類によってはワクチン接種が有効
ワクチン接種(予防接種)が可能な感染症については、ワクチン接種を受けることが最も有効な予防方法となります。
感染症にはさまざまな種類がありますが、以下のようにワクチン接種できるものとできないものがあるので覚えておきましょう。
ワクチン接種が可能な感染症 | 新型コロナウイルス感染症 インフルエンザ肝炎(A・B型) 風疹 麻疹 水疱瘡 RSウイルス感染症(60歳以上と妊婦) |
---|---|
ワクチン接種ができない感染症 | ノロウイルス感染症 溶連菌感染症肝炎(C・E型) ヘルパンギーナ ヒトメタニューモウイルス感染症 手足口病 アデノウイルス感染症 |
また、ワクチン接種の中には、公費負担の「定期接種」と有料の「任意接種」の2種類あることも特徴です。
例えば、定期接種は風疹・麻疹・水疱瘡、任意接種はインフルエンザやA型肝炎ワクチンなどが代表的です。
保育所で感染症対策が必要な理由
保育所で感染症対策が必要な理由は主に5つあります。
- 保育所は子どもたちが濃厚に接触する機会が多い
- 乳児期の子どもは行動が接触感染につながりやすい
- マスクをつけない2歳未満は飛沫感染のリスクが高い
- 子どもは大人と比べて免疫機能が発達していない
- 子どもは大人と比べて抗体が少なく免疫機能が弱い
感染症対策の重要性について一つずつ確認していきましょう。
保育所は子どもたちが濃厚に接触する機会が多い
保育所で感染症対策が必要な理由として、子どもたちが濃厚に接触する機会が多いからということが挙げられます。
小さな子どもは遊びに夢中になると距離感が近くなりやすく、飛沫感染や接触感染するリスクが高いです。
そのため、タオルや食器などの共有を避けたり、洗濯できないものについてはこまめなアルコール清拭、手洗いの徹底などが重要になります。
乳児期の子どもは行動が接触感染につながりやすい
乳児期の子どもの行動が接触感染につながりやすいことも、感染症対策が必要な理由の一つです。
乳児期は床をハイハイしたり、手に触れるものを何でも舐めるといった行動をしがちなので、接触感染が生じやすくなります。
このため、感染症を予防するためには、乳児が触れる寝具やおもちゃなどをしっかり消毒することが重要です。
マスクをつけない2歳未満は飛沫感染のリスクが高い
保育所は2歳未満の子どもは窒息や熱中症などのリスクが高くなることから、マスクを着用させないため、飛沫感染のリスクが高くなります。
乳児のマスク使用ではとても心配なことがあります。・乳児の呼吸器の空気の通り道は狭いので、マスクは呼吸をしにくくさせ呼吸や心臓への負担になる・マスクそのものやおう吐物による窒息のリスクが高まる・マスクによって熱がこもり熱中症のリスクが高まる・顔色や口唇色、表情の変化など、体調異変への気づきが遅れるなど乳児に対する影響が心配されます。
引用:日本小児科医会「2歳未満の子どもにマスクは不要、むしろ危険!」
このように、2歳未満の子どもはマスクによる感染症対策が難しいことから、保育施設で十分な換気を行い感染症対策をすることが重要です。
子どもは大人と比べて免疫機能が発達していない
子どもは大人に比べて免疫機能が発達しておらず、感染症にかかりやすいことも、感染症対策が必要になる理由です。
特に、乳児は生まれてから6ヶ月が経過すると、母親の胎盤から受け取っていた移行抗体が減少するため、感染症にかかりやすくなります。
このため、ワクチン接種が可能な感染症については、しっかりワクチン接種を受けることが確実性の高い予防方法となります。
子どもは大人と比べて抗体が少なく免疫機能が弱い
子どもは大人と比べて抗体が少なく免疫機能が弱いため、感染すると重症化するリスクが高くなることも感染症対策が必要となる理由です。
例えば、水疱瘡なら肺炎や気管支炎、麻疹なら中耳炎や脳炎などの合併症が起こりやすく、最悪の場合は死亡や障害が残る事例もあります。
新型コロナウイルスに感染後、急性脳症を発症した18歳未満の子どもが、2020年1月~22年5月末に31人いたことが、厚生労働省の研究班のまとめでわかった。脳症を発症すると死亡したり、後遺症が残ったりする恐れがある。小児科医は、コロナへの感染後に意識障害などが出たら救急車を呼ぶよう注意を促している。
引用:朝日新聞「コロナ感染後の子どもの急性脳症31人、死亡4人」
特に、乳児は大人と比べて1日に必要とする水分量が多いため、感染症によって発熱や下痢を起こすと、脱水症状を起こしやすいので注意が必要です。
保育所で感染症が蔓延する要因
保育所で感染症が蔓延する要因は、主に3つあります。
感染症はどのように人から人へ広がっていくのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
飛沫感染
飛沫感染は感染者が咳やくしゃみをした際に発生する細かい水滴(飛沫)に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。
飛沫感染を避けるためには、マスクの着用や室内の十分な換気を行うことが有効です。
また、飛沫感染とよく間違えられやすい感染経路として「空気感染」と「エアロゾル感染」があります。
感染の仕方 | 代表的な感染症 | |
---|---|---|
飛沫感染 | 感染者が咳やくしゃみをして発生した飛沫を吸い込むことで感染します。 | ・インフル ・溶連菌感染症 ・風疹 ・ヘルパンギーナ ・ヒトメタニューモウイルス感染症 ・手足口病 ・RSウイルス感染症 |
空気感染 | 空気中に漂っているウイルスを含んだ微粒子を吸い込むことで感染します。 | ・麻疹 ・水疱瘡 |
エアロゾル感染 | エアロゾルは、飛沫粒子よりも小さい直径0.001μmから100μmの粒子のことです。 感染症の原因となるウイルスを含むエアロゾルを吸い込むことで感染します。 | ・新型コロナウイルス |
接触感染
接触感染は感染者が使用した共有物に触れることで間接的に感染したり、感染者と直接触れ合うことで感染します。
接触感染を避けるためには、手洗いを徹底したり、タオルなどを共有しないでペーパータオルを使用することも有効です。
また、保育室やトイレのドアノブ・手すりなどは水拭きした後アルコールで清拭し、嘔吐物や排泄物の処理には次亜塩素酸ナトリウム液を使用しましょう。
スクロールできます引用:広島市「消毒液の作り方と使用上の注意(次亜塩素酸ナトリウム)」
消毒対象 必要な濃度 原液の濃度 希釈倍率 1リットルの水に加えて作る場合に必要な原液の量 便や吐物が付着した床やおむつ等 0.1% 5% 50倍 20ml 10% 100倍 10ml 衣服や器具などのつけ置きトイレの便座やドアノブ、手すり、床等 0.02% 5% 250倍 4ml 10% 500倍 2ml
経口感染
経口感染は口から汚染された食品や生肉を摂取したり、感染者の使用したもの・排泄物の接触から感染します。
経口感染を回避するためには、衛生状態が良くない場所での生水や生食を避けたり、おむつ交換やトイレ後の手洗いを行うことが重要です。
特に、感染症の場合、回復後の排泄物にウイルスが混じる場合もあるため、排泄物をビニール袋に密閉してから蓋つき容器で保管するようにしましょう。
保育所で流行する可能性がある主な感染症
保育所で流行する可能性がある主な感染症は以下のとおりです。
- 新型コロナウイルス感染症
- インフルエンザ
- ノロウイルス感染症
- 溶連菌感染症
- 肝炎
- 風疹
- 麻疹
- 水疱瘡
- ヘルパンギーナ
- ヒトメタニューモウイルス感染症
- 手足口病
- アデノウイルス感染症(流行性角結膜炎)
- RSウイルス感染症 など
これらの感染症は、大人にも感染するため注意が必要です。
また、このような感染症はどのような経路でうつり、また感染した場合はどのような対応が必要になるのか、一つずつ確認していきましょう。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルスは「SARS-CoV-2」と呼ばれるウイルスによって引き起こされる感染症です。
感染経路はエアロゾル感染、飛沫感染、接触感染で、ワクチンの予防接種が重症化を防ぐことにつながります。
ただし、ワクチン接種後も感染のリスクが完全になくなるわけではないため、感染症対策が必要です。
特に、「密閉」「密集」「密接」空間では感染が広がりやすいため、手洗いやマスクに加えて、部屋の換気も予防策となります。
感染者は冬だけではなく夏にも増加しやすいことも特徴です。
1〜14日程度の潜伏期間後に、発熱、咳、倦怠感などの症状が見られ、人によっては嗅覚異常や味覚異常が生じることもあります。
特に、高齢者や基礎疾患を抱えている方は、新型コロナウイルスに感染すると、重症化のリスクが高まるため注意が必要です。
参照: 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
一般社団法人日本環境感染学会「保育所での感染対策」
インフルエンザ
インフルエンザはインフルエンザウイルスが引き起こす気道感染症です。
感染経路は主に飛沫感染と接触感染で、予防接種に加えて、エタノールでの消毒や室内の換気などが有効な予防手段です。
感染者は冬に増加しやすく、1〜2月にピークを迎えます。
通常1〜2日程度の潜伏期間後、38度以上の発熱、のどの痛み、咳などの症状が見られます。
特に、児童は重症化のリスクが高いため、けいれんを起こしたり、呼吸が早く苦しそうな場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。
参照:首相官邸ホームページ「インフルエンザ(季節性)対策」
厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」
一般社団法人日本環境感染学会「保育所での感染対策」
ノロウイルス感染症
ノロウイルスは一般的に食中毒や胃腸炎の原因として知られています。
感染する経路は経口感染が多く、加熱調理が必要な食品を十分に加熱しないで食べた場合や、吐しゃ物の飛沫から感染する飛沫感染することもあります。
近年ではノロウイルスに感染した食品取扱者が調理した過程で汚染された食品から感染するケースも増えているため注意が必要です。
感染者は冬に増加傾向にあり、12月から翌年1月にかけてピークを迎えます。
ノロウイルスは感染してから24〜48時間ほど潜伏しており、症状は主に吐き気や嘔吐、下痢、腹痛があり、軽度の発熱を伴うことがあります。
予後は2〜3日程度で良くなることが一般的ですが、特に1歳未満の子どもが罹患した場合、脱水から症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。
ノロウイルスはアルコールに抵抗性があるウイルスのため、手洗いの際に石鹸を使い流水でしっかりと洗い流すといった物理的な洗浄が必要です。
参照:日本感染症学会「ノロウイルス感染症(Norovirus infection)」
国立感染症研究所「ノロウイルス感染症とは」
厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
溶連菌感染症
溶連菌感染症はA群溶血性レンサ球菌(溶連菌)と言われる細菌が原因で、発熱や喉の痛みにつながる扁桃炎や中耳炎などの症状を引き起こします。
感染する経路は飛沫感染や接触感染が主で、冬や春から初夏にかけての時期に増えるため、咳やくしゃみから飛沫感染を防ぐためにマスクの着用が有効です。
また、細菌が付着した状態は接触感染につながるため、石鹸を使った手洗いも予防につながります。
溶連菌感染症の病原体である溶血性連鎖球菌の潜伏期間は2〜5日で、感染しても症状が発症しない不顕性感染が15〜30%ほどいるという報告もあります。
参照:東京都保健医療局「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)について」
こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改正版)」
肝炎
肝炎はさまざまな原因によって肝臓に炎症が生じている状態です。
- ウイルス性肝炎→ウイルスが原因
- 薬剤耐性肝炎→薬物や化学物質などが原因
- アルコール性肝炎→飲酒、アルコールが原因
- 自己免疫性肝炎→自身の免疫細胞が自分自身を攻撃することが原因
肝炎の多くは「ウイルス性肝炎」で、日本で感染する可能性がある肝炎ウイルスは主にA・B・C・E型の4種類です。
感染経路 | 潜伏期間 | 症状 | 予防方法 | |
---|---|---|---|---|
A型肝炎ウイルス | 経口感染(貝類など) | 2~7週間 | ・発熱・だるさ・食欲不振 | 衛生環境が悪い地域での生水・生食を避けるか、A型肝炎のワクチン接種を受ける。 |
B型肝炎ウイルス | 血液感染(輸血や出産など) | 1~6ヶ月 | ・全身の倦怠感・食欲不振・嘔吐 | 他人の血液・体液を直接触らないようにしたり、B型肝炎のワクチン接種を受ける。 |
C型肝炎ウイルス | 血液感染(注射針など) | 2~14週間 | ・体のだるさ・疲れやすさ・食欲不振 | B型肝炎と同じく、他人の血液・体液を直接触らないようにする。 |
E型肝炎ウイルス | 経口感染(生肉など) | 2~9週間 | ・発熱・嘔吐・食欲不振 | 衛生環境が悪い地域での生食を避ける。 |
さらに肝炎は、以下のように「急性肝炎」と「慢性肝炎」の2種類に分けられます。
症状 | |
---|---|
急性肝炎 | A・B・E型肝炎ウイルスに多く見られるケースで、全身倦怠感 ・ 食欲不振 ・ 吐き気 などの症状があり、通常1~3ヶ月で自然治癒します。 |
慢性肝炎 | B・C型肝炎ウイルスに多く見られるケースで、長期間軽度の肝障害が続き、自覚症状がないことから、肝硬変や肝がんにつながるリスクがあります。 |
肝炎は基本的に年中いつでも感染するリスクがありますが、季節によって感染者数が変動するものもあります。
季節性があるものとしては、生牡蠣による感染が多いA型肝炎ウイルスが代表的で、日本では主に冬から春にかけて流行する傾向があります。
参照:和歌山市感染症情報センター「肝炎」
株式会社GME医学検査研究所「【ウイルス性肝炎】とは?」
風疹
風疹は強い感染力をもった急性の発疹性感染症です。
感染経路は飛沫感染のためマスクを着用したり、風疹の予防接種を受けることが有効な予防方法です。
感染者は春から夏にかけて増加しやすく、通常2〜3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱などの症状が見られます。
特に、風疹は小さな子どもより大人が感染した場合のほうが症状が重くなりやすく、関節痛を感じたり、症状が長引く恐れがあるので注意が必要です。
また、2,000人〜5,000人に1人くらいの割合で「脳炎」や「血小板減少性紫斑病」などの重篤な合併症を発生する恐れもあります。
参照:国立感染症研究所「風疹とは」
厚生労働省「風しんについて」
麻疹
麻疹は免疫を持っていない人がうつると、高い確率で発症する急性の全身感染症です。
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力が非常に強いため手洗いやマスクだけでは感染は防げません。
そのため、麻疹は予防接種が有効な予防法となります。
感染者は春から夏にかけて多くなり、10〜12日程度の潜伏期間の後、発熱や咳、鼻水などの症状が見られます。
発熱してから2〜3日後に39℃以上の高熱が出やすく、先進国であっても1,000人に1人が死亡する可能性があるので注意が必要です。
また、肺炎や中耳炎、脳炎などの合併症が起きやすいのも麻疹の特徴です。
参照:国立成育医療研究センター「はしか(麻しんウイルス感染症)にご注意ください!!」
厚生労働省「麻しんについて」
水疱瘡
水疱瘡は「水痘」とも呼ばれ、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる発疹性の感染症です。
発症は9歳以下の子どもが90%以上を占めており、一度水疱瘡に感染して免疫を獲得すると、再感染しにくくなります。
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、水痘ワクチン接種が予防策として有効です。
感染者は冬から春にかけて増加する傾向があります。
2週間程度の潜伏期間の後、発熱と共に体全体に発疹が広がるのが特徴です。
また、子どもの場合は熱性痙攣、肺炎、気管支炎などの合併症にも注意が必要です。
完治の目安は、すべての発疹がかさぶた化したかによって判断されます。
参照:国立感染症研究所「水痘とは」
厚生労働省「水痘に関するQ&A」
一般社団法人日本環境感染学会「保育所での感染対策」
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは4歳以下の子どもがかかりやすく、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる急性のウイルス性咽頭炎です。
感染経路は接触感染と飛沫感染で、手洗いの徹底や共有部分のこまめな消毒が有効な予防法となります。
感染者は5月頃から増え始め、7月頃にピークを迎えます。
通常2~4日の潜伏期間を経て、突然の高熱や口の中の粘膜やのどの奥に複数の発疹が見られます。
特に、子どもの場合、口腔内の疼痛により飲食を嫌がる場合もあるため、脱水症状にならないように少しずつ水分補給させましょう。
また、感染者の便からは、回復後も排泄物からウイルスが検出される場合があるため、体調が回復しても油断は禁物です。
参照:国立感染症研究所「ヘルパンギーナとは」
国立成育医療研究センター「ヘルパンギーナ」
ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルス感染症は呼吸器感染症の一種で、10歳までの子どもがかかりやすいのが特徴です。
感染経路は接触感染と飛沫感染で、アルコール消毒やマスク着用によって感染を予防できます。
アルコールに対する感受性:hMPVはエンベロープを有するため,アルコールは有効である。
引用:北海道大学「北大病院感染対策マニュアル」
感染者は、春から初夏(3〜6月)に増加しやすく、3〜5日間の潜伏期間を経て、発熱・咳・のどの痛みなどの症状が見られます。
特に、成人の呼吸器感染症の2〜4%はヒトメタニューモウイルス感染症が原因となっており、高齢者が感染した場合は重症化しやすいので注意が必要です。
また、ヒトメタニューモウイルス感染症は、1度の感染では十分な免疫が得られないため、何度も感染する可能性があります。
ただし、症状は初回感染時が重く、再感染時には重症化率は低下する傾向があります。
参照:社会福祉法人恩賜財団済生会「ヒトメタニューモウイルス感染症」
香川県「ヒトメタニューモウイルス感染症とは?」
手足口病
手足口病は、主に2歳以下の児童がかかりやすく、2〜3mm程度の水疱を伴う感染症です。
感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染で、有効なワクチンがないため手洗いの徹底やタオルの共有を避けることが有効な予防策となります。
また、おむつ交換をした際の排泄物の処理も適切に行うことも重要です。
感染者の増加は夏がピークとなっており、3~5日間の潜伏期間を経て口の中や手足に複数の発疹が出るのが特徴です。
感染者の3分の1程度に発熱の症状も見られますが、38度以下のケースが多く、通常は1週間程度で回復します。
ただし、髄膜炎や心筋炎などの重篤な合併症をまれに引き起こす場合もあるので注意が必要です。
参照:国立感染症研究所「手足口病とは」
厚生労働省「手足口病」
アデノウイルス感染症(流行性角結膜炎)
アデノウイルス感染症(流行性角結膜炎)は、アデノウイルスによって引き起こされる結膜炎です。
主な感染経路は接触感染で、塩素消毒が不十分なプールの水やタオルの共有などを介して感染します。
そのため、予防対策としてタオルは共有せず、必ず個人用のタオルを使用することが重要です。
感染者は夏に増加しやすい傾向がありますが、1年中感染するリスクはあります。
2〜14日程度の潜伏期間を経て、目の充血やまぶたの腫れなどの症状が見られます。
参照:国立感染症研究所「流行性角結膜炎とは」
一般社団法人日本環境感染学会「保育所での感染対策」
RSウイルス感染症
RSウイルス感染症は、主に0歳〜1歳児がかかりやすい呼吸器の感染症です。
感染経路は接触感染と飛沫感染で、感染者の使ったおもちゃや手すりなどに触れたり、感染者の咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことで人にうつります。
感染者は秋から冬の時期にかけて増加しやすいのが特徴です。
RSウイルスは、通常4~6日間の潜伏期間を経て、発熱や鼻水など風邪のような症状が見られます。
特に、初回感染時や生後6ヶ月以内の乳幼児は、細気管支炎や肺炎など重症化する場合があるので注意が必要です。
RSウイルス感染症の予防対策としては、こまめなアルコール消毒、流水・石鹸による手洗い、飛沫感染対策としてマスクの着用が有効になります。
また、60歳以上の高齢者と妊婦のみワクチン接種が可能です。
参照:国立感染症研究所「RSウイルス感染症とは」
厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」