認可外保育園で働くメリット・デメリット!認可されていない理由から給与事情まで解説

認可外保育園での働き方

「認可外保育園って給与が低いのかな?」

「認可を受けていない=ブラックってこと?」

認可外保育園というと、このような悪いイメージを浮かべる人もいるかもしれません。

しかし、すべての認可外保育園に問題があるわけではなく、独自の保育方針を維持するためにあえて認可外にしているケースもあります

場合によっては、認可保育園より認可外のほうが自身のスキルを活かしやすい場合もあるため、思い込みから求人を避けるのは勿体ないことです。

そこで本記事では、認可外保育園で働くメリットやデメリットについて詳しく解説します。

この記事の要点
  • 認可外保育園は認可を受けてないからこその柔軟な保育方針が特徴的
  • 認可外保育園は自身の得意分野を活かした働き方ができる
  • 認可外保育園は施設環境が十分に整っていない施設もある
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目次

認可外保育園とは?

渋谷区にある公園の遊具

認可外保育園とは国の設置基準を満たしていないため、都道府県知事からの認可を受けていない保育施設のことです。

認可外保育園は主に民間企業が運営しており、それぞれの園によって柔軟な保育方針を取っていることが特徴です。

例えば、認可外保育園は早朝や延長保育に対応できるので、認可保育園より保育時間の融通が利きやすいという強みがあります。

実際、みずほリサーチ&テクノロジーが認可外保育園の利用者を対象にした調査でも、「利用可能時間が希望に合う」が選択理由のトップとなっています

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認可外保育園を選んだ理由
利用可能時間が希望に合う66.7%
認可施設を希望したが利用できなかった51.4%
利便性の良い立地である45.9%
施設長や保育者が信頼できる44.4%
保育料が安価44.3%
認可施設では十分に対応できない手厚い保育をうけられる43.8%

引用:みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社「認可外保育施設の利用者の保育等ニーズに関する調査報告書」

このように認可外保育園は柔軟性や利便性の高さが評価されており、特にフルタイムで共働きをしている家庭から好まれやすい傾向があります。

認可外保育園に分類される施設

認可外保育園に分類される施設は、主に6つあります。

①企業主導型保育所

企業主導型保育所は、従業員の子どもを預かるために、企業が国から運営資金となる助成金をもらって運営している保育施設です。

②院内保育園

病院内で働く医師や看護師などの子どもを預ける保育施設のことで、24時間体制で対応している施設もあるのが特徴です。

③事業所内保育施設

事業所内保育施設は、原則として0~2歳児を対象にしており、主に事業所で働く従業員の子どもを預かるために設置された保育施設です。一般的に「認可保育園」と扱われやすいですが、一部施設は国が定めた設置要件を満たしていなかったり、届出義務を怠り認定外になるケースもあります。

④ベビーホテル

「夜8時以降の保育」「宿泊を伴う保育」「利用児童のうち一時預かりの児童が半数以上」の要件のうちいずれかを満たしている保育施設のことです。

⑤ベビーシッター

ベビーシッターは「居宅訪問型保育事業」とも呼ばれ、保育士が自宅へ訪問してマンツーマンでサポートを行うのが特徴です。

⑥認証保育園

認証保育園は東京都認証保育所事業実施要綱の基準を満たした場合に認証される東京都独自の保育施設のことです。

認可保育園との違い

認可保育と認可外保育園では、「保育の安全性」と「国からの助成金の有無」が大きな違いとなっています。

認可保育園は国の設置基準を満たし、都道府県知事の認可を得た施設で、保育の質と安全性が保たれており、国から助成金をもらえるのが特徴です。

一方、認可外保育園は国の設置基準を満たしていないため、都道府県知事の認可を得ておらず、国から助成金をもらうことができません

また、認可外保育園では、子ども一人当たりの職員数など国の定めた基準を守っていない場合もあるため、安全管理が徹底されていない可能性があります。

認可外保育園で働くメリット

公園の入り口

認可外保育園で働くメリットは、主に4つ挙げられます。

  1. 自身の得意分野を活かした働き方ができる施設もある
  2. 子ども一人ひとりと向き合った保育ができる
  3. 給与や福利厚生が良い施設もある
  4. 行事が少なく負担が少ない

自身が希望する働き方と合いそうかチェックしておきましょう。

自身の得意分野を活かした働き方ができる施設もある

認可外保育園で働くメリットとして、自身の得意分野を活かした働き方ができることが挙げられます

認可外保育園はそれぞれ保育方針が異なり、英語や運動、リトミックなどの指導に力を入れているケースが少なくありません

例えば、インターナショナルプリスクールも認可外保育園の1つです。

日本国内のインターナショナルプリスクールは、例えばフランスやアメリカなど、特定の国のカリキュラムに基づいた教育システム、もしくは国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)など、国際的認可を受け、また認知度も高いカリキュラムに則っているケースがほとんどです。

引用:Nagoya International School

園の特長によっては、以下の資格も活かしやすくなるでしょう。

  • 児童英語インストラクター
  • 幼保英語検定
  • 絵本専門士
  • リトミック指導者
  • 運動保育士

子ども一人ひとりと向き合った保育ができる

認可外保育園で働く場合は、子ども一人ひとりと向き合った保育ができるというメリットがあります。

認可外保育園は認可保育園よりも子どもの数が少ない傾向があるため、一人ずつ丁寧に接することができます

子どもの成長をしっかり見守ってあげたいと考えている場合には、認可外保育園はおすすめです。

給与や福利厚生が良い施設もある

認可外保育園で働くメリットには、給与や福利厚生が良い施設もあることが挙げられます。

特に、院内保育園や企業主導型保育園は、運営会社がしっかりしているほど働きやすい環境が整備されており、高待遇である傾向があります。

そのため、同じ認可外保育園でも、どのような施設で働くかによって、働きやすさが大きく変わってくるでしょう。

行事が少なく負担が少ない

認可外保育園で働くメリットとしては施設のスペースが限られていることから、行事の負担が少ないことも挙げられます。

子どもとの行事は楽しい反面、行事を開催するまでに会議や準備が必要となるため、精神的にも体力的にも負担が大きくなるのが難点です。

その点、行事が少ない認可外保育園なら、行事にかかる手間が省けるので、行事の企画や準備が好きじゃない方にとっては嬉しいポイントとなります。

そのため、認可外保育園は体力的に不安があるブランクがある保育士が働きやすい保育施設の一つです。

一方、行事が好きな方にとっては、仕事のやりがいや大きな達成感を得にくい場合もあるでしょう。

認可外保育園で働くデメリット

認可外保育園で働くデメリットは、主に5つあります。

  1. シフト制勤務になる可能性が高い
  2. 生活リズムが崩れることがある
  3. 残業や仕事の持ち帰りがある可能性がある
  4. 保育施設が整っていないことがある
  5. 処遇改善手当が支給されない

認可外保育ではどのような不満を感じやすいのか、事前に確認しておきましょう。

シフト制勤務になる可能性が高い

認可外保育園で働くデメリットは、シフト制勤務になる可能性が高いことが挙げられます。

なぜなら、厚生労働省の資料によると、認可外保育園の開所時間は「15時間未満」が最多ですが、24時間体制で運営している施設もあるからです。

以下の表では認可外保育園の種類別に開所時間の割合をご紹介しているのでぜひ参考にしています。

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事業所内保育施設ベビーホテルベビーシッターその他の認可外保育施設
7時間未満4.5%5.1% 13.2% 6.4% 
8時間未満5.3%3.8% 4.9% 2.1% 
9時間未満3.6%11.4%8.4% 7.1% 
10時間未満7.7%9.3%10.0%10.6% 
11時間未満12.3%10.0%6.8% 16.3%
12時間未満26.9% 8.3%6.8% 27.6%
15時間未満32.6% 25.7%17.9% 27.8%
20時間未満1.9% 9.6%14.5% 1.2% 
24時間未満0.3%4.6% 5.3% 0.1%
24時間4.9%12.2%12.1%0.8%

引用:厚生労働省「令和3年地域児童福祉事業等調査結果の概況」

特に、認定外保育園の中でも「ベビーホテル」や「ベビーシッター」は24時間体制となっているケースが多く、不規則な勤務になる可能性があります。

このため、家庭と両立して働きたい方は、認定外保育園だと勤務時間が希望と合わない可能性があるので面接時によく相談しておきましょう。

生活リズムが崩れることがある

時計の時間

認可外保育園で働く場合は休日出勤や夜間保育に加えて、早朝保育にも対応しているため、生活リズムが崩れやすいというデメリットもあります。

そのため、不規則な生活が苦手という方は、認可外保育園はあまり向いていない可能性があります。

また、施設によっては長時間労働になることもあるため、人によっては認可外保育園での働き方が合わない可能性もあるでしょう。

残業や仕事の持ち帰りがある可能性がある

認可外保育園で働くデメリットには、残業や仕事の持ち帰りが発生する可能性も上げられます。

認可外保育園は国の設置基準を満たしていないことから、子ども一人あたりの職員数が足りず、激務になるケースがあるからです。

また、認可外保育園は国からの助成金が入らず、保育料だけで運営しないといけないため、保育士の給与が安く、人材が集まりにくいことも考えられます。

実際、厚生労働省の資料によると、認可外保育園で従業員の保育士比率が100%になる施設は、全体のたった22.2%しかありません。

全従事者に占める保育士の比率認可外保育園の割合
100%22.2%
90~99%1.4%
80~89%9.6%
70~79%10.4%
60~69%15.7%
50~59%15.5%
40~49%6.1%
30~39%7.8%
20~29%4.9%
10~19%1.3%
0~9%5.0%

引用:厚生労働省「認可外保育施設の水準」

認可保育園では保育士全員が有資格者でなければいけないのに対し、認可外は職員の3分の1以上が保育士であることが必要とされています。

つまり、認可外保育園は職員の3分の2程度が未資格や未経験の保育士というケースもあります。

しかし、実際には保育士比率が3分の1にも満たない状況で運営している施設が10%程度もあることがわかります。

このような保育士の人手不足が慢性的になっている施設では、仕事量が多くなりやすいため注意しないといけません。

保育施設が整っていないことがある

認可外保育園で働くときのデメリットとして、保育施設が整っていない可能性も挙げられます。

実は、認可外保育園は以下の指導監督基準に合った設備が求められます。

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職員■配置基準
・主たる保育時間(11時間)
⇒児童福祉施設設備運営基準に規定する数以上
・11時間を超える時間帯
⇒現に保育されている児童が1人である場合を除き、常時2人以上の配置が必要
■職員:保育者の3分の1以上が保育士又は看護師資格が必要
設備・ 保育室 1.65㎡以上/人
・ 調理室、便所
非常災害に対する装置・消火用具、非常口の設置
・定期的な訓練の実施
児童の処遇■保育の内容
・保育所保育指針に準じて行う。
■給食
・年齢や発達、健康状態等に配慮した食事
・献立の作成
■健康診断

引用:厚生労働省「認可外保育施設の質の確保・向上について」

しかし、こども家庭庁の調査では、「指導監督基準に適合していない施設」が認可外保育園全体で33.3%もあることがわかります。

ベビーホテル259ヶ所(44.8%)
事業所内保育施設1,318ヶ所(23.3%)
ベビーシッター事業904ヶ所(71.9%)
その他の認可外保育施設731ヶ所(33.7%)
合計3,212ヶ所(33.3%)

引用:こども家庭庁「令和3年度認可外保育施設の現況取りまとめ」

ベビーシッター事業に関しては71.9%もあり、保育施設として十分な設備が整っていないため、労働環境が悪いことが考えられます。

処遇改善手当が支給されない

認可外保育園で働くデメリットとして、以下のような処遇改善手当が支給されないことが挙げられます。

処遇改善手当は保育士の賃金を改善することを目的に支給される補助金のことです。

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種類内容対象者
処遇改善等加算Ⅰ
(基礎分)
職員の平均経験や年数の上昇に応じた昇給職員全員
処遇改善等加算Ⅰ
(賃金改善要件分)
賃金改善・キャリアパスの構築の取組に応じた処遇改善職員全員
処遇改善等加算Ⅱ技能・経験の向上に応じた処遇改善副主任保育士や職務分野別リーダー等
処遇改善等加算Ⅲ賃金の継続的な引上げ(ベースアップ)による処遇改善職員全員
人事院勧告による改善分人勧に伴う国家公務員給与の改定に準じた人件費の引上げ分職員全員

引用:こども家庭庁「公定価格の処遇改善等加算Ⅰ~Ⅲの一本化について」

処遇改善手当が支給されるのは認可保育園のみのため、認可外保育園で働く場合は、給与面で不利になるので注意が必要です。

認可外保育園への転職はやめた方がいい?

認可外保育園の転職をやめた方がいいかどうかは、個々の理想とする働き方によってそれぞれ判断が異なります。

ただし、働き出してからミスマッチで悩まないために、以下の点についてもよく考えておく必要があります。

認可外保育園に保育士転職サイトを使って転職する前に、認可外保育園について知っておきべき情報を押さえておきましょう。

国から認可されていない理由

保育園が国から認可されていない理由として、主に「国の定めた設置基準を満たしていないこと」や「届出をしていないこと」が挙げられます。

まず、認可保育園には、「認可保育所」「認定こども園」「小規模保育事業所」などさまざまな種類があります。

そして、国から認可を受けるためには、施設の種類ごとに定められた以下の設置基準を満たし自治体に届出をする必要があります。

  • 職員の設置数
  • 保育士の有資格者数
  • 保育室等の面積
  • 利用定員数
  • 給食室

しかし、一部の施設の中には、こうした設置基準に満たない施設や届出がなく認可外となるケースもあります

厚生労働省の資料によると、設置基準を満たさない施設は全国7,013カ所のうち2,062カ所あると報告されています。

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施設数基準を満たさない施設不適合率
全国7013カ所2062カ所43%

引用:厚生労働省「認可外保育施設の質の確保・向上について」

また、認可外保育園の中には英会話や運動など独自の保育方針を維持するために、あえて認可外にしている施設もあります

このような施設では保育士に加えて、児童英語インストラクターやリトミック指導者の資格を持っていると転職の際に優遇されやすいでしょう。

給与事情

厚生労働省の調査によると、認可外保育園の一つに該当する事業所内保育事業の一人あたりの月額給与は以下のとおりです。

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A型適用B型適用20人以上
主任保育士(常勤)266,081万円266,264万円355,918万円
保育士(常勤)238,168万円264,238万円269,782万円

引用:内閣府「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報値>【修正版】」 

事業所内保育事業は「A型」「B型」「20人以上」の3タイプがあり、保育士の設置数、子どもの預かり年齢、設備などによって分けられます。

事業所内保育園の場合は、月額給与が30万円を超えるのは20人以上の施設に勤務する常勤の主任保育士だけとなっています。

一方で、一般的な私立保育園の保育士の月額給与は301,823万円、公立保育園は303,113万円で認可外保育園より約4〜6万円高いのが特徴です。

このため、保育士の求人で給与を重視する場合は、認可外保育園より一般的な保育園を選んだほうが待遇面で満足しやすいでしょう。

当コンテンツは構成・執筆・編集を保育のキャリア編集部が担当し、アイキャッチデザインの作成を外注デザイナーが担当して作成されています。

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