保育士を辞めたいと感じた理由は?保育士経験者77名を調査してわかった現場の声

保育士が辞めたいと感じる理由

保育士は子どもと触れ合い成長に携わることができる昔から人気がある職業の一つです。

全国的に高い需要がある一方で、「仕事がつらい」「辞めたい」と感じている保育士がいることも事実です。

本記事では保育士を辞めたいと感じたことがある方を対象に実施したアンケートを基に、辞めたいと感じた件数が多いランキングから辞めて良かったことや後悔したことまでご紹介します。

保育士の実際の意見や声などを参考にしつつ、本当に保育士を辞めるべきか、辞めるときはどうすればいいのかを冷静に判断していきましょう。

この記事の要点
  • 保育士が辞めたいと感じる理由は人間関係が最も多いことがわかった
  • 保育士を辞めて気持ちに余裕ができたという声も確認できた
  • 保育士を辞めた後で子どもの成長に携われなくなったと後悔する方も少なくない
当コンテンツについて

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著者情報
保育のキャリア編集部

保育のキャリア編集部

保育のキャリア編集部は保育士の転職・キャリアに関する専門メディアを1年以上運営しています。これまでに1,440名の保育士および保育士経験者を対象とした独自アンケート調査を実施し、転職サイトの実態、職場での人間関係、残業問題、年収事情など、保育業界のリアルな声を分析・発信してきました。また、編集部は日々保育士向け転職サイトの動向を継続的にチェックし、実際にエージェントサービスを利用することで、利用者視点に基づいた情報発信をしています。さらに、編集部は保育士が気になる職場の内部情報を調査できる口コミサイトのほいくreviewsも運営し、転職を検討する保育士がより良い選択をできるようサポートしています。私たちは保育人材が思う理想的な働き方の実現するために保育のキャリアを運営しています。

当コンテンツは構成・執筆・編集を保育のキャリア編集部が担当し、アイキャッチデザインの作成を外注デザイナーが担当して作成されています。

保育のキャリア編集部は当コンテンツを作成するにあたり、以下のWebサイトや保育士を辞めたいと感じたことがある方に実施したアンケート、保育士向けメディアを運営することで得られた知見を参考にしています。

東京福祉局が公表する保育士実態調査の情報
東京福祉局が公表している東京都保育士実態調査の結果

アンケートはクラウドソーシングのサービスを通して実施しており、保育士を辞めたいと感じたことがある方77名から回答を取得しました。

保育士を辞めたいと感じたことがある方にアンケートを実施した証拠
保育士にアンケート調査を実施している様子

保育士を辞めたいと感じたことがある方を対象にしたアンケートでは、以下の質問に回答してもらいました。

  • 性別を教えてください
  • 年齢を教えてください
  • 保育士を辞めたいと感じたい理由は?
  • 上記の辞めたいと感じた理由について詳しく教えてください
  • 保育士を辞めて良かったと感じることは?
  • 保育士を辞めて後悔したことは?

上記のアンケートから取得した回答は、保育のキャリア編集部が適切な内容の口コミに厳選するために承認作業を行なっています。

承認作業の結果、選定された回答者77名の性別と年齢構成は以下のとおりです。

  • 女性:71名
  • 男性:6名

以下では回答者の年齢構成を示しています。

  • 20歳未満:2名
  • 20歳以上30歳未満:24名
  • 30歳以上40歳未満:35名
  • 40歳以上50歳未満:13名
  • 50歳以上60歳未満:2名
  • 60歳以上:1名

当コンテンツでは上記の保育士を辞めたいと感じたことがある方に実施したアンケート結果を一部引用しています。回答に誤字脱字が確認できた場合は、当コンテンツの読者が読みやすいように修正をしていますが、内容に変更を加えていません。

また、保育のキャリア編集部は当コンテンツを作成するにあたり、以下の論文の内容を一部引用しています。

上村 眞生. ”保育士のメンタルヘルスに関する研究”. J-STAGE. 2017-8-4. https://www.jstage.jst.go.jp/article/reccej/50/1/50_KJ00008159611/_article/-char/ja,(参照 2024-11-21)

目次
  1. 保育士が辞めたいと感じる理由を調査してわかった9つの事実
    1. 20代の保育士ほど職場の人間関係に悩みやすい?データで検証
    2. 本音では給料が安いと感じている保育士が多い
    3. 仕事量が多くプライベートの時間を作りにくい
    4. 園の保育方針が合わないことが退職理由になることもある
    5. 年齢とともに体力的に厳しいと健康上の悩みを抱える保育士が増えやすい
    6. 結婚や子育てなどのライフスタイルの変化が辞めるきっかけになる
    7. 保育士の仕事の責任が重いとプレッシャーに悩む方もいる
    8. 人手不足が深刻な園では休みが取りにくいこともある
    9. 子どもは好きだけど保育士に向いていないと感じる方もいる
  2. 保育士を辞めたい方は多いが離職率は比較的に低め
    1. 保育士を辞めて良かったことは気持ちに余裕ができたといった声が多い
    2. 保育士を辞めて後悔したことは子どもとの関わりがなくなったという声が多い
  3. 保育士が辞めたいのになかなか辞めれない理由
    1. 退職後に仕事が見つからないかもしれない不安
    2. 園長や上司に報告しにくい
    3. 年度途中で同僚に負担をかけてしまう
    4. 引き留められると断れない
  4. 保育士を辞めたいと感じたときに冷静に考えたいこと
    1. 保育士を辞めたいのか職場を変えたいのかを考え直す
    2. 転職して別の職場で働く
    3. ライフスタイルに合わせて働きやすいパートを検討する
    4. 休職を検討する
  5. 保育士が辞めると報告しやすいタイミング
    1. 退職する3ヶ月前
    2. 迷惑がかかりにくい3月末
    3. 行事が少ない時期
    4. 1日の中で忙しくなく余裕がある時間帯
  6. 保育士の仕事を円満に辞める際に必要な手続き
    1. 退職する具体的な時期を決める
    2. 直属の上司に退職する旨を伝える
    3. 失業給付を受ける場合は離職票を発行してもらう

保育士が辞めたいと感じる理由を調査してわかった9つの事実

保育士という職業は「給料が安い」「仕事量が多い」といった理由が退職意向になる方もいることが、東京福祉局の「令和4年度東京都保育士実態調査」の発表でわかっています。

そこで保育のキャリア編集部は、保育士を辞めたいと感じたことがある77名の方を対象にアンケート調査を実施して、最新の理由を調査しました。

調査結果は以下のとおりで、保育士を辞めたいと感じた理由は職場の人間関係が32.4%と最も多く、次いで「給料が安い」「仕事量が多い」と続くことがわかりました。

アンケートからわかった保育士が辞めたいと感じた理由

また、アンケートの「保育士を辞めたいと感じた理由は?」という質問には、以下の回答の選択肢も用意されていましたが、選ばれていませんでした。

  • 事務作業が多い(回答者0名)
  • 仕事の責任が重い(回答者0名)
  • ピアノが弾けない(回答者0名)
  • 会議の時間がつらい(回答者0名)

ここでは、保育士が仕事を辞めたいと感じる以下の原因について、一つずつ見ていきます。

  1. 職場の人間関係
  2. 給料が安い
  3. 仕事量が多い
  4. 園の保育方針が合わない
  5. 体力的に厳しい・健康上の理由
  6. ライフスタイルの変化
  7. 仕事の責任が重い
  8. 休みが取りにくい
  9. 保育士に向いていないと感じた

辞めたいと感じた理由によっては、アンケートで取得した回答も紹介しているのでぜひ参考にしてください。

20代の保育士ほど職場の人間関係に悩みやすい?データで検証

保育士に限らず、仕事を辞めたくなる原因の上位としてよく挙げられるのが「職場の人間関係」です。

保育士は園児のお世話だけではなく、同僚や園長、保護者などさまざまな立場の方とコミュニケーションを取りながら仕事を進めないといけません。

相性が悪い同僚や上司に当たったり、保護者のクレームが多いとそれだけ精神的なストレスも大きくなります。

保育のキャリア編集部が実施したアンケートでは20代の保育士ほど、辞めたいと感じた原因が職場の人間関係である割合が37.5%と30代や40代の保育士と比べて高いことがわかりました。

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20代保育士(24名)30代保育士(35名)40代保育士(13名)
職場の人間関係9(37.5%)11(31.4%)4(30.7%)
給料が安い1091
残業や持ち帰りなど仕事量が多い293
園の保育方針と合わない100
結婚や出産などライフスタイルの変化120
保育士に向いていないと感じた101
健康上の理由010
体力的に厳しい013
休みが取りにくい011
その他010

保育士のメンタルヘルスに関する研究では、新人保育士の心の健康を保つためには先輩との関係性も重要と考えられています。

保育士の心の健康度を良好に保つためには,達成感を得ることや自信をもつことが有効であるといえる。これらは,日々の保育実践の積み重ねの上に得られるものであるため,保育実践を繰り返す中で,その実践を正当に評価してくれる同僚や先輩,管理職の存在は不可欠となるだろう。とりわけ,経験年数の低い新人保育士については,中堅保育士やベテラン保育士に比べ心の健康度が低いため,意図的に達成感や自信を得るための機会を設けることが有効であると考えられる。

引用:J-STAGE「保育士のメンタルヘルスに関する研究」

保育のキャリア編集部の見解では20代の早期離脱による人手不足が深刻な園では、30代や40代の保育士が20代の保育士に感謝や評価を言葉にして自信につながる取り組みを行う必要があると考えられます。

また、保育士の人間関係は時間の経過と共に改善されることもありますが、職場での居心地が悪い場合は退職という手段でしか問題を解決できない場合もあるでしょう。

以下では、職場の人間関係で保育士を辞めたいと感じた方の声をまとめています。

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園長が定年退職にあたって副主任が園長となりました。新しい園長は常に不安を抱えており、いつも態度にでていました。そのネガティブさが職員にも広がり職場の雰囲気が1年前とガラリと変わってしまいました。また不安と合わさって「責任」をとることを嫌がり、大事な場面で職員の意見に頼る日々が続きました。不安で責任が怖く、自信がないけどプライドが高い。前園長と新園長が変わったことで保育環境は変わらないのに職場の雰囲気がガラリと変わり、職員の仕事も増え、毎日聞くネガティブ発言もあって昨年度は多くの退職者が出ました。園のトップとなり、新園長の不安や心細さも感じとった職員は、私も含め歩み寄ることもしましたがそれでも毎日続くネガティブ思考に耐えきれず退職する運びとなりました。

今いる職場は年配の方が多く、昔の保育論を押し付けてくるので働きにくいし、自分のしたい保育ができない。

当時は男性の保育士がやっと世間に認められ始めた所で、利用者以前に雇う側も男性に対して理解しない所があり、当時の園長から「今は良いけど30~40代になってきたら男性はイメージが悪い」と言われ、不信感から辞める事になった。

園長と主任の意見が合わず、職員が振り回され、子ども主体ではなく大人の都合でものごとを進めなければいけなくなったとき。

新卒で入って3日で同じクラス配属の先生から嫌われているのではないかと感じ、1か月経つ頃には完全に嫌われていました。私も不器用で鈍臭く、仕事も十分にできていなかったところもありましたが、毎日狭い保育室で相手からは嫌われ無視されるのが本当に辛かったです。子どもに笑顔を見せなきゃならないのに、髪で視界を狭めて、相手の視界に極力入らないようにしていました。

職員室でとにかく悪口が飛び交っていた。こどものこと、保護者のこと、その場にいない先生のこと、ずっと愚痴っていて聞くのが辛かった

他の先生と自分のやり方に相違があり揉めたりするのが嫌

上司との関係が大変だった。ただでさえ毎日満身創痍で働く職種なのに、ベテランばかりで「背中を見て学べ」という感じで人間関係がしんどかった。

とにかく性格のきつい人ばかりだし、子どもの扱いが最悪でした。

女の職場って感じで、特におばさん達の愚痴が酷かったから

一つのクラスで3人の先生で受け持っているのですが、他の二人の先生から園の連絡が来なかったり、子供たちの情報や、その親御さんの話た内容も共有してもらえなかったのが、続いて耐えられなかった。

先生によって違うが、性格がキツイ方がいて指導していただく時に、言い方がきつかったり、いろいろ文句を言われたりしたため。

園長が今で言うパワハラ的な行動が多かった為

やりがいは感じるものの、やりたい保育方針が上司と合わないと理由など関係なく却下されたりお局さんや上司のお気に入り贔屓が強く、気を使わなきゃならない場面が多くあったため

女性が多い職場で、陰で告げ口したり主任の顔色をうかがいながら仕事することに疲れてしまった

1年目の職場で、一緒に担任をもっていた先生からパワハラを受けたから。次第に精神を病み、うつ状態と診断され辞めたくなった。

保護者との関係や子供との関係は良かったが職員同士人間関係が辛かった。入る前は土日の勤務は交代制ですと言われていたのに新人は毎週土曜日仕事絶対と言われたり、同じクラスの担任に作業系のものは全部やらされたり、毎朝の出勤は必ず早朝の時間、でも帰りは18時をすぎる

園長より態度のでかい主任や、保護者の噂話を楽しむ先生も多く、しんどさを感じたので退職しました。

私だけ周りと比べて仕事量が多いし、それを押し付けられたりしたりして人間関係が悪くなったことが原因です。

人間関係がある程度上手くいっていないと仕事に対しての意欲も下がってしまうし行きたくなくなったりしてしまう。

激務のため、みんなイライラしており、居心地が悪かった

そこの保育園は初めてなので園の流れや園児の名前すら知らない状況なのに、一切OJTがなく、できるでしょ?の感覚で物事を言われ、園児の名前すら教えてもらえず、できないと文句を言われた。

一歳児クラス12人を3人で担任をしていたのですが、ベテラン保育士2人に挟まれ常にピリピリした状態で保育をしていました。ほとんど同期の2人でしたので、自分の保育感の押し付け合いが頻繁におこり、常にピリピリしていました。どちらの話も聞かねばならず本当に辛かったです。

本音では給料が安いと感じている保育士が多い

保育士が仕事を辞めたいと感じる原因には「保育士の給料が安い」こともよく指摘されます。

具体的には、令和5年賃金構造基本統計調査を元に企業規模10人以上の施設で働く保育士全体の平均給与を算出したところ約397万円となりました。

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きまって支給する現金給与年間賞与・その他特別給与平均給与
男性306,600円806,000円4,485,200円
女性268,900円705,500円3,932,300円
合計271,400円712,200円3,969,000円

引用:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」

一方、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均給与は460万円です。

一般的な平均給与より保育士のほうが60万円程度安いため、給与を重視している方にとっては、働きがいを感じにくい可能性があります。

このため、人によっては保育士から他業者への転職を考える人も一定数いると考えられます。

実際に、保育士を辞めたいと感じたことがある方に実施したアンケート結果からは、保育士の給与が安いと感じている方が多くいることが確認できました。

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休日も返上してピアノの練習や書類作成等をしても時間が足りないけらいなのに、仕事の内容に対して給料が安いと感じる

長いこと、クラスリーダーをしていたのですが、手当てはありがたいですが、事前の相談もなく月々2万円カットされたから。また、処遇改善はまだまだ足りないと思います。

働きに出ている時間、日数を考えてみても明らかに見合っていない給料で働かないといけないから

労働時間が長い割には給料が安く生活が苦しいから

命を預かってるなどの仕事に対しての給料が低いと感じるから。

子供たちの成長に大きく関わる仕事だが、その責任に報酬が見合っていないと感じたから。

何年勤めても給料が微々たるものしか上がらないから。

長時間労働・低賃金がつらかったです。サービス残業が当たり前のように行われていた職場でした。

給与水準が低すぎて、生活に支障が出たから

肉体労働、命を預かる立場のに対して安月給。また休憩もちゃんととれないときがある。

子供たちの命を預かっているという責任感の割に給料が見合ってないと思うから

手取りが17万くらいなので、一人暮らしが精一杯。結婚する時に、相手に負担をかけたくないので、職種を変えるか考えた。

仕事量に対して給料が見合っていないと感じた

ほとんど休憩がないのに、他の職種に比べて給料が少ないなと思います。

給料が上がらない。産休育休中は昇給もできない

残業や休日出勤したのに給料と割にあっていないと思う

仕事量も多いし、責任も重い。それにも関わらず給料は少ない。若い頃はやり甲斐重視でしたが、結婚、出産をし生活がかかってくると保育士にこだわらなくていいと感じるようになりました。

責任や仕事量と給料が見合わない

なによりボーナスの時期になると自分の同期など他の会社員をしている友人はボーナスをもらったなどの話で盛り上がっているがその話についていけない

アンケートの回答のとおり、保育士の給料は令和7年度から一本化が予定されている処遇改善手当によって賃上げが行われている施設もありますが、給与を改善するには基本給を見直す必要があるといった意見もあります。

仕事量が多くプライベートの時間を作りにくい

保育士は仕事量の多さも辞めたいと感じる原因になりやすいです。

保育士の仕事は子どもへのサポートや保護者対応のほか、以下のような「事務系作業」と「製作作業」もあります。

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事務系作業・保育記録の記入
・年間、月案、週案などの指導計画の作成
・保護者向けお便りの作成
・避難訓練やイベントの計画
製作作業・施設内の壁飾り
・お誕生日カードの作成
・イベントの小道具や衣装製作

特に、イベントがある時期は激務になりやすく、残業や持ち帰り仕事が増えやすいので注意が必要です。

このように仕事量が多い職場を避けたい場合は、イベントが少ない「小規模保育園」や「院内保育所」などを選ぶのもおすすめです。

アンケート結果からは、仕事量が多くプライベートの時間が少なくなるため、体調にも影響しているという保育士も確認できました。

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持ち帰りは常にあり帰りも遅い。家では持ち帰りのせいで睡眠時間が2時間しかない日もあった。また、家に帰っても常に保育のことが頭から離れず辛い。

自分の時間が持ちにくいのが理由です

打ち合わせは勤務時間外が当たり前だし、休憩時間に事務作業をしているので休憩できない

育休が明けて時短勤務していましたが、正職員ですので仕事量は変わらず責務だけは増えていくので、時短で退勤しても自宅で事務仕事や前日の制作準備などで仕事をすることが多かった。家事育児もこなし、自宅で仕事をすることはとても辛かった。

業務量が多すぎて、個人の仕事をするのは定時をすぎてからが当たり前。残業代もつかず、ほぼサービス残業。やりがいはあったが、業務に対する給与が見合っていないと感じていた。結局忙しすぎて体を壊してしまったので、退職した。

残業してもタイムカードにつかず、サービス残業で毎日少なくても30分はあたりまえ、多い日には3時間ほどサビ残することが多かった。

サービス残業がとても多くて疲れてしまいました。

持ち帰りの仕事が多く帰宅しても家で休む時間はほとんどなく休日もプライベートな時間がなかなか作れなかった。

周りの先生たちは副担任をしっかり付けてもらっていたが、私は外人や21歳の免許のない人だったりで、実質1人担任のような状態でした。そのため必然的に業務量も多くなり、行事前にうつ病っぽくなってしまったこともあり、このまま続けるのは難しいと思っていたときに結婚することになったので、辞めました。

行事前は夜遅くまで準備で残業が多いことと制作の持ち帰り仕事も頻繁にある

自分自身としてはバタバタした職場だったのでなかなか時間内に終わることが少なく、残業が多く、それで体調を崩してしまったことがあったからです。

行事や日々の保育の準備など、子どもがいると持ち帰ってできない。残業することもできないと思った。

特に、サービス残業がある職場はブラックな保育園の条件に当てはまるため、働きやすい環境とは言えません。

園の保育方針が合わないことが退職理由になることもある

保育士が仕事を辞めたくなるケースとして、園の保育方針が合わないことも挙げられます。

特に、私営保育所の場合は、体操やリトミックなど、その園独自の教育方針を打ち出す傾向があるため、人によって合う・合わないが大きく分かれます。

また、保育方針の相性は園だけではなく、同僚や上司と保育に対する考えを巡り意見が合わないこともあるので注意が必要です。

このため、どうしても園や同僚、上司などと保育方針が合わない場合は、保育方針が共感できる別の保育所に転職するほうが活躍できる可能性があります。

以下では、園の方針と合わずに辞めたいと思った保育士の事例をご紹介しているのでぜひ参考にしてください。

休日に夏祭りやバザーなど保護者と一緒に行う行事は、無給でボランティア活動のようにやっていた。休日が無くなることやお金が出ないという方針がつらかったから辞めたいと思った。

年齢とともに体力的に厳しいと健康上の悩みを抱える保育士が増えやすい

加齢による体力の低下から保育士を続けることに自信が持てなくなる方もいます。

なぜなら、保育士は子どもたちを支えるため、十分な体力が求められるからです。

厚生労働省の調査によると、保育士の年齢構成は30歳未満が最も多く、50代以降になると急激に減少しています。

年齢割合
30歳未満32.9%
30代25.6%
40代20.5%
50代14.4%
60代5.7%
70代0.7%

引用:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

また、保育士の仕事は体力的な負担だけでなく、健康面の悩みを抱える人も多く、ストレスによるメンタルヘルスの問題も無視できません。

保育士は子どもの安全を守るため、心身ともに健康であることが重要ですが、長時間の立ち仕事や重労働、シフト勤務による負担が年齢とともに厳しくなる傾向にあります。

以下では、体力的な問題から保育士を辞めたいと回答してくれる方の意見をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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50過ぎて復職した時、更年期でホットフラッシュがひどく、子供達の園外保育の時、大汗かいても、帰ってから園児をみないといけないので、汗びっしょりの服が着替えれず、風邪ひきまくりで体調崩してやめた。

フルタイム勤務が心身ともにきつくなり、パート勤務に変えて頂いたところから、扱われ方が軽んじられるように感じ、トップとの人間関係も悪化したため

立ち仕事となるのでその関係から体が辛い。子供を抱くことで足腰も痛むから。しっかり静養したく思ったから。

夏の暑い日に園児と外遊びをして軽い熱中症になった。年をとるにつれて夏の暑さに体力がもたなくて、帰宅後も体力が回復しなくて家事ができなくなった。

ADHD傾向があるお子さんに全く指示が通らず、引っ掻かれたり、噛み付かれたりして傷ができました。それに対して親御さんから何の反応もなく、時給と実労働がミスマッチだと感じたからです。

休みがあまりなく体力的に厳しいから

40代を迎え、毎日の外遊びや夏場のプール遊び、また寒い時期も外で走り回って子どもたちを遊ばせることが負担になってきたため。それと同時に早番遅番などのシフトも負担に感じるようになってきた為。

このように、加齢とともに保育士として働くことが難しいと考えている方も少なくありません。

結婚や子育てなどのライフスタイルの変化が辞めるきっかけになる

保育士は結婚・出産・子育てなど、ライフスタイルの変化をきっかけに退職を考え始める方もいます。

以下では、結婚や子育てなどのタイミングで保育士を辞めたいと考えた保育士の声をまとめているのでぜひ参考にしてください。

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子供が生まれたら、預けて働くことになるわけで。そうすると、必然的にしょっちゅう風邪の呼び出しがあるわけで…。すると、有給も減り…。休みも取りづらくなり…。どんどん、心の余裕が無くなり。二人目からの復帰では、同じことを繰り返したら、有給が消える頃には、心の余裕も消えて、ポッキリ折れました。保育士は実家が近くにあるとか、サポート体制が夫と妻意外に無いと正職員は厳し過ぎます。シフトも無理です。と感じました。

担任を持っていると、妊娠するタイミングが掴みづらいため。

元々保育士3年目から辞めたいと思っていた。なかなか辞めるきっかけもなく異動したりして環境変えてみたが新しい環境の中でもやっぱり辞めたいという思いは心のどこかでありつつ 子どもと関わって仕事をするやりがいや保護者の感謝の言葉をかけられるとやりがいを感じその葛藤があった。事務作業も多く人手不足もあり残業したり持ち帰りも多かった。乳児は特に抱っこしたりおんぶしたり体力も沢山使い 体力面精神面忍耐面がとわれなかなかにきつい。その三つ条件が揃ってても給料が少なく割にあってないと日々かんじる。また小さい子どもがいる中 人手不足により時短勤務も早めざる得ない状況で半年でフルタイムとなり土曜日もあり行事や係が入っていて子どもとの時間か中々取れずさらに辞めたいと強く思った。

保育士の仕事はただでさえ体力が必要なので、自分の子どもの育児や家事と両立しながらフルタイムで働くことは困難です。

このため、保育士の仕事を正社員で続けるよりも、パートで働いたほうが仕事と家庭を両立しやすくなる可能性があります。

ただし、育児をした経験は今後保育士の仕事で大きな武器となるので、簡単に正社員の仕事を捨ててしまうのももったいないことです。

保育士としてのキャリアアップを目指すなら、正社員の充実した福利厚生をキープしながら、時短勤務を活用して働き続けるのも悪い選択ではありません。

保育士の仕事の責任が重いとプレッシャーに悩む方もいる

保育士の仕事は給与や仕事量などの割に仕事の責任が重いことから、仕事を辞めたいと感じる方もいます。

特に、保育士は0歳〜3歳までの子どもの面倒を見ることが多く、ちょっとしたミスが取り返しのつかない事態に発展するケースも少なくありません。

例えば、2024年9月5日付の朝日新聞では、認可外保育施設で生後5ヶ月の女児がうつぶせ寝が原因で窒息した事件が取り上げられています。

和歌山県田辺市の認可外保育施設「託児所めぐみ」で昨年7月、生後5カ月の女児がうつぶせの状態で意識不明となっているのが見つかり、搬送先の病院で死亡していたことがわかった。県や田辺市によると、女児は窒息死したとみられる。代表の女性保育士が国の基準に反して、1人で複数の乳幼児に対応していたという。

引用:朝日新聞「生後5カ月の女児うつぶせ死か 保育士は当時1人だけ、国の基準以下」

このような死亡事故を起こした場合、保育士は業務上過失致死に問われる恐れがあるため、リスクを避けるため退職を考える人もいるでしょう。

また、このような責任が重い仕事にも関わらず給料が安いといった不満にもつながりやすいです。

人手不足が深刻な園では休みが取りにくいこともある

保育業界は人手不足で一人が休むと周囲に迷惑がかかるため、休みが取りにくいことに不満を感じ、仕事を辞めたいと思う場合もあります。

実際に、休みたいときに休めないから保育士を辞めたいと考えている方の声も確認できました。

ただし、休みが取りにくいかどうかは、働いている保育施設によって大きく異なり、保育士全員が休みを取りにくいわけではありません。

例えば、公益社団法人全国私立保育連盟の調査では、保育施設で働く職員の年次有給休暇の取得率は以下のとおりとなっています。

20日程度5.2%
15日程度10.6%
10日程度24.6%
7日程度14.6%
5日程度19.5%
3日程度13.0%
取得していない12.4%

引用:公益社団法人全国私立保育連盟「働くみんなのホントの調査」

「10日程度(24.6%)」が最も多く、次に「5日程度(19.5%)」「7日程度(14.6%)」と続きます。

保育士でも年間5日〜10日程度の休みを取っている人が約6割を占めるため、必ずしも休みを取りにくいわけではないことがわかります。

このため、休みの取りやすさを重視している場合は、就職や転職の際にその施設での有給の取得状況を確認しておくようにしましょう。

子どもは好きだけど保育士に向いていないと感じる方もいる

保育士の中には、仕事をしているうちに「自分は向いていないかも…」と感じ、辞めたい気持ちが強くなる場合もあります。

特に、保育士は「子どもと関わる仕事がしたい」という理由で就職する方も多いですが、実際の業務は多肢に渡ります。

以下では、保育士として就業する意思がある理由をまとめているのでぜひ参考にしてください。

子どもと関わる仕事がしたい26.1%
保育補助17.1%
社会貢献11.3%
子どもが好き8.1%
資格を生かしたい6.8%
子育て経験5.4%

引用:厚生労働省「保育士試験合格者の就職状況等に関する調査研究」

保護者からのクレーム対応、パソコンでの事務作業、イベントで必要になる小道具の製作など、子どもと直接関わらない業務も多いです。

また、保育士はマルチタスクになりやすいため、複数の仕事を同時進行するのが苦手な方には向かない可能性もあります。

このため、新卒で保育士に就職する場合は、幅広い業務に対応しないといけないことをよく理解しておく必要があります。

以下では、保育士に向いていないと感じたことがある方の意見をまとめているのでぜひ参考にしてください。

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保護者の対応に疲れ心が折れました。お子さんとの接し方や状態に悩んだり、試行錯誤するのは、大変ですがこの仕事のやりがいにもつながります。一方で、保護者からの過度な要求や苦情への対応。カスハラに近い対応に神経をすり減らししていまい、受け持ちの子の卒園に合わせて退職しました。

子どもの成長をみることができるのがやりがいだと感じていたが、自分自身の成長にはつながらないと感じたから。女の職場でギスギスしていたから。園の方針に疑問を抱くようになったから。

保育士を辞めたい方は多いが離職率は比較的に低め

保育士の仕事を辞めたいという方はよく見られますが、保育士の離職率はそれほど高くありません。

例えば、厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」によると、平成29年度時点の保育士全体の離職率は9.3%となっています。

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平成28年の離職率平成29年の離職率
公営保育所6.3%5.9%
私営保育所10.8%10.7%
全体9.4%9.3%

引用:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

この9.3%という離職率は、厚生労働省が公表している令和4・5年の常用労働者の離職率に比べて、かなり低い数値であることがわかります。

令和4年の離職率令和5年の離職率
男性13.3%13.8%
女性16.9%17.3%
合計15.0%15.4%

引用:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果」

ここからは、保育士を離職した方の意見をご紹介します。

保育士を辞めて良かったことは気持ちに余裕ができたといった声が多い

保育士を辞めたいと感じた方の中には、実際に辞めてしまった保育士もいます。

今回、保育のキャリア編集部が保育士を辞めた方に「保育士を辞めて良かったと感じたことは?」と質問をしてみたところ、以下のような回答が確認できました。

  • 気持ちに余裕ができた
  • 夜中までの作業がなくなった
  • 人間関係のストレスから解放された
  • 転職することで金銭面で余裕ができた
  • 家族との時間が増えた

調査からは、人間関係や責任感などのストレスから解放されて精神的に楽になった、辞めた後で気持ちに余裕ができたといった意見が多く確認できました。

実際に保育士を辞めた方の声を確認したい方は以下の回答を参考にしてください。

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家に帰ってきてからも仕事のことを考えなくて良くなった

凝り固まった考え方に固執していたんだな…と、思います。こうしなきゃいけない。こうするべき!というのが、安全の観念上保育をしていて、強くあって、それを家庭にも持ち込んでしまって疲れていたなぁと。子どもは子どもらしく、できないことあってもいいの!って、気楽に慣れて、親が休んでたって、預けてしまう日があってもいいよね。って、思えるようになりました。真面目一辺倒じゃ疲れますて。

夜中まで起きて書類や作り物をしなくて良くなったことが良かったです。

自分の時間と心の余裕ができた

仕事とプライベートを切り替えやすくなったこと

女同士の人間関係やいじめが無くなったので、ストレスから解放されて良かったです。

転職して時間や金銭面を気にすることが少なくなったので、気持ちにゆとりが生まれました。

肉体労働からの解放、精神的にも気持ちが楽になった。

勤務時間に仕事が終わる事で、自宅での時間も家族のためにあてることができ、心の余裕がうまれた。

気持ちに余裕ができて家族や周りの人に優しくできるようになったし、食事もしっかり取れるようになり、働いてた時は休みの日も疲れて寝てしまうか持ち帰り仕事をするかだったのが外出などに使えるようになった。

性格が明るくなったことと、ご飯を食べられるようになったこと。他にも職場はたくさんあると気づけたこと

ストレスがなくなったことで明るく前向きな自分に戻ることができた。

保護者、職場内の人間関係でのストレスもなく、自分に余裕が持てるようになった

心身ともに辛いところに身をおく生活から解放されて、自分らしさを取り戻せたこと。

単純に人間関係のストレスがなくなりましたし、給料が高くなりました。

自分自身としては人間関係のストレスが軽減することができたり、残業が減ってプライベートの時間を確保できるようになったことです

子どもとの時間ができ、仕事の持ち帰りがないから楽

現在、保育とは全く関係のない仕事をしていますが、勤務時間も短縮された上に子どもの命を預かるというような責任もなく、気持ち的に楽に働けています。なおかつ、保育士時代より給料をいただけているので、辞めてよかったと思います。

職員同士の人間関係がなくなり、ストレスがなくなりました。

保育士を辞めて後悔したことは子どもとの関わりがなくなったという声が多い

保育士を辞めてしまった方の中には、辞めて後悔をしていることがあると回答をしてくれる方も確認できました。

以下では、保育士を辞めて後悔したことについて具体的にまとめています。

  • やりがいがなくなった
  • お金と時間がもったいなく感じた
  • 子どもと関わる機会がなくなった
  • 子どもとお別れすることが寂しい
  • 体力がなくなった
  • 自身の強みを発揮できる機会が失われた

子どもや保育が好きなこともあり、子どもと接する機会や子どもの成長に携われなくなったことを後悔している意見が多いことがわかりました。

実際に後悔した声を確認したい方は、アンケート調査で「保育士を辞めて後悔している」と回答してくれた方の声を確認してみましょう。

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子どもの成長をみることがやり甲斐だったが、そういう喜びややり甲斐をかんじられなくなった。

時間とお金を掛けて学校へ行き、実習まで頑張った事に対し、全て意味がなくなってしまうのが後悔。

転職で職場が変わっても大体同じことで悩んでいる(時間外勤務等のことで)ため、少しぐらいの悩みで辞めず続けてても良かったかなと感じることもある

子供と触れ合う機会がない

子どもとの関わりが好きだったので、それがなくなったのは後悔している。

子ども達との触れ合いがほぼ無くなってしまったことと、体力がなくなってしまったことです。

子供との関わりが無くなったこと。とても貴重なものだと思った。

子供たちと会えなくなるのは寂しさがあります

自分のクラスの子はすごく懐いてくれてたので、別れるのがすごく寂しかったのと、親御さんも良い方が多かったので、ちゃんと挨拶を出来ずに別れてしまったのが、唯一の後悔です。

子どもの成長過程を見守る仕事なので、成長の途中で辞めてしまったことへ申し訳なさがありました。もっと環境が良ければ、ずっと子どもたちの成長に携われたのになと思いました。

子どもが大好きなので、子ども達とふれあうことができなくなったこと、一緒に思いっきり遊べなくなったことが、寂しくかんじているところです。

今までみてきた子どもたちの成長が見送れなかったことや、自分を求めてくれる子どもたちで自分の存在意義を感じることが出来ていたのだと思ったこと。

子どもたちと会えなくなったので、思い出して、やめなければよかったかなと思うことがある。

担任を持っていた子どもたちが卒園するまで見届けられず、寂しいと思ったこと。

目の前の子の意欲を引き出して、新しい才能を開花させる、自分の強みを発揮する機会が失われたこと。

自分自身としては親しかった子ども触れ合うことができなくなったことです。

保育士が辞めたいのになかなか辞めれない理由

保育士が仕事をなかなか辞められない理由として、主に以下の4つが挙げられます。

  1. 退職後に仕事が見つからないかもしれない不安
  2. 園長や上司に報告しにくい
  3. 年度途中で同僚に負担をかけてしまう
  4. 引き留められると断れない

上記の内容でなかなか辞めることができない方は、転職サポートが充実した保育士転職サイトを利用すると、退職する際の悩みも含めて相談しながら次の職場を見つけることができます。

ここからは保育士が仕事を辞められない原因について詳しく紹介していきます。

退職後に仕事が見つからないかもしれない不安

保育士が仕事をなかなか辞められない理由には、退職後に仕事が見つからないかもしれないという不安が挙げられます。

保育士の仕事は専門職のためベテラン保育士であっても、一般企業の異業種の求人に応募する場合には「未経験」扱いになってしまいます。

このため、異業種への転職は「不利になるんじゃないか」「内定が取れないんじゃないか」と考え、転職をためらう方も少なくありません。

しかし、こうした不安は杞憂に終わり、保育士の仕事で培ったコミュニケーションスキルが評価され内定を獲得するケースも見られます。

そのため、20代保育士が転職する場合は、自身がやってみたいことを明確にして、コミュニケーションスキルを活かして転職に挑戦してみましょう。

また、30代や40代の保育士の方は、転職時の年齢がネックで転職への一歩が踏み出せない場合もあると思います。

一般的に、転職は年齢が高くなるほど難易度が高くなる傾向があります。

このため、30代の保育士や40代の保育士は、在職中に確実に内定を得てから退職するようにしましょう。

園長や上司に報告しにくい

保育士に限らず、多くの人は退職の話を上司に報告しにくいものです。

特に、園長や上司との相性があまり良くない場合は、納得してもらえる退職理由でないと、余計に関係が悪化する可能性があります。

このため、園長や上司に退職理由を聞かれた際には、「人間関係が合わない」など正直に答える必要はありません。

退職の報告をしてから実際に退職するまでは、一般的に数ヶ月の期間があります。

その間、園長や上司が納得できない退職理由だと引き留められたり、職場での居心地が悪くなる恐れがあるので説得力のある理由を伝えることが重要です。

そのため、退職理由を一度考えたら、信頼できる家族や友人などに、一度退職理由を聞いてもらいましょう。

第三者にアドバイスをもらうことで、周囲が納得しやすい退職理由を用意することができます。

もしも、転職を相談できる相手がいない場合は、転職エージェントを利用するのもおすすめです。

年度途中で同僚に負担をかけてしまう

保育士が仕事を辞めにくい理由には、年度途中で退職すると同僚に大きな負担をかけてしまうということも挙げられます。

特に、担任クラスを持っている場合は、年度途中での退職は子どもやその保護者に対しても大きな動揺を与えるため歓迎されません。

基本的に、どこの保育施設でも仕事は1年計画で進められていくため、年度途中での退職は引き留められる可能性があるので注意が必要です。

引き留められると断れない

保育士が簡単に退職できない理由には、退職を相談した結果、引き留められて断り切れなかったというケースもあります。

現在、どこの園も人材不足で、たった一人の退職でも周囲に与える影響・負担がかなり大きいため、すんなり退職できるとは限りません。

○ 保育士の有効求人倍率は、1月頃にピークを迎え、平成26年1月では全国平均で1.74倍となっています。○ 平成25年度の新規求人倍率を見ると、9割超の都道府県において1倍を超えており、人手不足感が広がっています。

引用:厚生労働省「保育分野における人材不足の現状①」

このため、引き留めが激しい職場では、反対される可能性が低い「区切りの良い時期」に退職するのがおすすめです。

一般的に、年度終わりとなる3月末は保育士にとって辞めやすい時期です。

また、以下のように退職届をなかなか受け取ってもらえない場合でも、民法により2週間前に退職の意思を伝えれば会社の承認なく辞めることもできます。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
2 期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。

引用:e-GOV法令検索「民法」

保育士を辞めたいと感じたときに冷静に考えたいこと

保育士を辞めたいと思ったときは、一時的な感情で判断せず、以下の4つのポイントを冷静に考える必要があります。

  1. 保育士を辞めたいのか職場を変えたいのかを考え直す
  2. 転職して別の職場で働く
  3. ライフスタイルに合わせて働きやすいパートを検討する
  4. 休職を検討する

「やっぱり辞めなきゃ良かった」と後悔しないように、ここでは本当に保育士の仕事を辞める必要性があるのか検討してみましょう。

保育士を辞めたいのか職場を変えたいのかを考え直す

保育士を辞めるか判断するときに重要な点は、保育士を辞めたいのか、それとも職場を変えたいのかということです。

もし、異職種に転職したいという強い意思が固まっている場合は、保育士を辞めたいと判断できます。

この場合、異業種へのキャリアチェンジは、年齢が若いほうが有利に働きやすいため、早い段階で決断するのも悪くありません。

一方、退職後も別の保育施設で保育士として働くことを検討している場合は、保育士の仕事が嫌なのではなく、職場を変えたいだけと判断できます。

以下のような保育士向けの転職サイトを利用すると、担当者と仕事やキャリアについて相談しながら負担が少ない転職先を探せます。

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求人数仕事やキャリアの相談
ヒトシア保育5,816件可能
保育士人材バンク34,128件可能
保育士バンク70,377件可能
保育士ワーカー42,556件可能
マイナビ保育士18,494件可能
保育のお仕事48,777件可能

※求人数は2025年3月1日時点の情報です。
>>2024年版のコンテンツの根拠
>>2025年版のコンテンツの根拠

職場を変えても転職先でまた同じ状況になる可能性があるため、退職の原因をよく分析をした上で自身に合った保育士の転職先を決めることが重要です。

転職して別の職場で働く

現在の職場を辞める場合は、保育士を続けるにしても、異業種に転職するにしても、別の職場で働くことについてよく考えることが大切です。

なぜなら、どの職場に転職をしても、「人間関係の相性」は必ずあるからです。

現在の職場の人間関係が上手くいかず、精神的にも苦しい思いをしている場合は、思い切って転職するのは良い解決策になるかもしれません。

ただし、現在の職場の人間関係が良い場合は、「昔の職場のほうが良かったな」「前の職場に戻りたい!」と後悔する場合もあります。

このため、現在の人間関係に満足している方は「キャリアアップ」や「年収アップ」など明確な目的がある場合を除き、安易な転職は注意が必要です。

ライフスタイルに合わせて働きやすいパートを検討する

結婚や出産などにより保育士としての働き方を変えたいと思った場合は、「パート」を検討してみるのも一つの方法です。

パートの方が正社員よりも仕事量が少なく、勤務時間の融通も利きやすいため、ライフスタイルに合わせて働きやすいです。

また、現在正社員の方は「パートになったら年次有給休暇を取れなくなってしまう…」と考えている方もいるかもしれません。

しかし、実際には雇入れの日から6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば正社員やパートなどの区別なく有休をもらうことができます。

業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)。

引用:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」

このため、パートになっても正社員だった頃と同じように、急病や家庭の事情でお休みが必要になった場合でも有休を利用できるので安心です。

休職を検討する

もしも、健康上の理由で保育士を辞めることをなかなか決断できない場合は、休職を検討することをおすすめします。

休職であれば仕事を休んでいる間は「傷病手当」が支給され、いつでも慣れ親しんだ職場に戻れる可能性が残るからです。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
 なお、任意継続被保険者の方は、傷病手当金は支給されません。
(健康保険法第104条による継続給付の要件を満たしている者は除く。)
A 傷病手当金が受けられるとき傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。 ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。
B 支給される金額1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)

引用:全国健康保険協会「傷病手当金」

休職中は勤務先から給与や賞与が支給されない代わり、健康保険制度を利用して、これまでの給与の3分の2に相当する傷病手当がもらえます。

休職は経済面も安定させながら、自分が余裕を持って次の仕事を選択できるので、退職するか迷っているなら検討してみる価値があります。

保育士が辞めると報告しやすいタイミング

年度途中の退職は伝えにくい」という方は以下の報告しやすいタイミングを参考にしてください。

  1. 退職する3ヶ月前
  2. 迷惑がかかりにくい3月末
  3. 行事が少ない時期
  4. 1日の中で忙しくなく余裕がある時間帯

ここでは、各タイミングで退職する際の注意点について解説します。

退職する3ヶ月前

保育士の仕事を辞める場合は、最低でも3ヶ月前に退職の旨を伝えることがおすすめです。

基本的に、退職は「就業規則」に記載された期日までに伝えればよいことになっていますが、実際には余裕を持って伝えることが重要になります。

なぜなら、園では新しい人材を確保するために求人を出したり、業務の引き継ぎをするための時間が必要になるからです。

通常、1ヶ月では新しい人材を採用して、業務の引き継ぎを完了させるのは難しいため、2〜3ヶ月前に退職を伝えたほうが園に迷惑をかけずに済みます。

迷惑がかかりにくい3月末

保育士の仕事が一段落する3月末は退職に良いタイミングといえます。

4月からは新学期となり、子どもも保育士も大幅な入れ替えが行われるため、3月末なら自然な形で退職できます。

特に、担任クラスを受け持っている場合は、年度途中で退職すると周囲に大きな迷惑をかけるため、3月末での退職が最適です。

行事が少ない時期

周囲に迷惑をかけたくない場合は、行事が少ない時期も仕事を辞めるのに良いタイミングです。

行事のある時期はただでさえ残業や持ち帰り仕事が多く、退職者が出ると周囲の仕事の負担が大きくなるため、この時期の退職は大きな迷惑になります。

また、保育士が忙しい時期は、職場によっては引き留められてスムーズに辞められない可能性もあります。

このため、できるだけ円満退社をしたいと思う場合は、保育士があまり忙しくない行事のない時期を選ぶと辞めやすくなります。

1日の中で忙しくなく余裕がある時間帯

また、保育士の仕事を辞めたい気持ちを伝える際は、1日の中で余裕がある時間帯に伝えることも重要なポイントになります。

特に、退職を最初に伝える上司が忙しい時間帯はできるだけ避けましょう。

なぜなら、上司が忙しい状況で退職を切り出しても、「後にしてほしい」とすぐに対応してもらえない可能性があるからです。

このため、上司と退職について落ち着いた話し合いの場を持ちたい場合は、上司の状況をよく見極めて伝えるようにしましょう。

保育士の仕事を円満に辞める際に必要な手続き

保育士の仕事を円満に辞めるためには、事前準備しておきたいことや必要な手続きが主に3つあります。

  1. 退職する具体的な時期を決める
  2. 直属の上司に退職する旨を伝える
  3. 失業給付を受ける場合は離職票を発行してもらう

ここでは、どのようなことを事前に決めておくといいのか、どんな手続きが必要になるのか、一つずつ解説していきます。

退職する具体的な時期を決める

保育士の仕事をスムーズに辞めるためには、まずは退職する時期をしっかり決めておきましょう。

「〇月末で辞めます」とはっきり退職希望日を伝えたほうが、園も明確な基準ができることで対応しやすくなるからです。

退職を伝えるタイミングは、原則として就業規則に記載された期日が参考になります。

法律上では正社員の場合、民法第627条により退職は2週間前までに伝えれば問題ありません。

■期間の定めのない雇用の場合(民法第627条第1項)
労働者には「退職の自由」がある。そのため、退職を希望する労働者は自由に退職することができ、退職の意思表示から2週間が経過すると雇用関係が終了(=退職)する。

引用:日本労働組合総連合会「退職の自由」

直属の上司に退職する旨を伝える

退職の具体的な日程を決めたら、直属の上司に退職する旨を伝えましょう。

周囲に人がいてなかなか打ち明けるチャンスがないときは、メールなどで相談したいことがあると伝えてみるのもおすすめです。

直属の上司に退職の意思を伝えると、そのまま上司から園長へ話を伝えてもらえることもあれば、直接園長へ伝えることも勧められることもあります。

退職の流れは、それぞれの園によって異なるため、信頼できる上司がいる場合は、事前にどのような流れになるのか前例を聞いておくと安心です。

失業給付を受ける場合は離職票を発行してもらう

保育士の仕事を辞めた後に失業給付を受けたい場合は、退職前に勤務先に依頼して離職票を発行してもらう必要があります。

離職票とは、雇用保険に加入している従業員が失業給付を受けるために必要な書類のことです。

離職票の発行自体はハローワークが行いますが、一般的には勤務先を経由して退職日から10日前後で離職者本人へ郵送されることが多いです。

離職票には「雇用保険被保険者離職票・資格喪失確認通知書(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票(離職票-2)」の2種類あります。

離職票を受け取った後は、最寄りのハローワークで求職を申し込み、以下の書類をすべて提出しましょう。

【受給手続きに必要なもの】
1.離職票―1
2. 離職票―2
3.マイナンバーカード
4.本人の印鑑(認印・スタンプ印以外)
5.写真2枚(最近の写真、正面上半身タテ3.0cm×ヨコ2.5cm。
6.本人名義の預金通帳(一部の金融機関を除く)
7.船員であった方は船員保険失業保険証および船員手帳

引用:厚生労働省「離職されたみなさまへ」
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目次
  1. 保育士が辞めたいと感じる理由を調査してわかった9つの事実
    1. 20代の保育士ほど職場の人間関係に悩みやすい?データで検証
    2. 本音では給料が安いと感じている保育士が多い
    3. 仕事量が多くプライベートの時間を作りにくい
    4. 園の保育方針が合わないことが退職理由になることもある
    5. 年齢とともに体力的に厳しいと健康上の悩みを抱える保育士が増えやすい
    6. 結婚や子育てなどのライフスタイルの変化が辞めるきっかけになる
    7. 保育士の仕事の責任が重いとプレッシャーに悩む方もいる
    8. 人手不足が深刻な園では休みが取りにくいこともある
    9. 子どもは好きだけど保育士に向いていないと感じる方もいる
  2. 保育士を辞めたい方は多いが離職率は比較的に低め
    1. 保育士を辞めて良かったことは気持ちに余裕ができたといった声が多い
    2. 保育士を辞めて後悔したことは子どもとの関わりがなくなったという声が多い
  3. 保育士が辞めたいのになかなか辞めれない理由
    1. 退職後に仕事が見つからないかもしれない不安
    2. 園長や上司に報告しにくい
    3. 年度途中で同僚に負担をかけてしまう
    4. 引き留められると断れない
  4. 保育士を辞めたいと感じたときに冷静に考えたいこと
    1. 保育士を辞めたいのか職場を変えたいのかを考え直す
    2. 転職して別の職場で働く
    3. ライフスタイルに合わせて働きやすいパートを検討する
    4. 休職を検討する
  5. 保育士が辞めると報告しやすいタイミング
    1. 退職する3ヶ月前
    2. 迷惑がかかりにくい3月末
    3. 行事が少ない時期
    4. 1日の中で忙しくなく余裕がある時間帯
  6. 保育士の仕事を円満に辞める際に必要な手続き
    1. 退職する具体的な時期を決める
    2. 直属の上司に退職する旨を伝える
    3. 失業給付を受ける場合は離職票を発行してもらう